2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J10815
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
森阪 麻衣 (酒井 麻衣) 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 小型ハクジラ亜目 / 社会行動 / 接触行動 / イルカ / 鯨類 |
Research Abstract |
伊豆諸島御蔵島に生息するミナミハンドウイルカを撮影したビデオデータ(2000,01,02年撮影分)から、社会行動の分析を行った。胸ビレで相手をこする行動であるラビングを分析し、受け手がこの行動を求めることが多いことを明らかにした。これは、体表面のケアといった何らかの利益を得ていることを示唆した。同性・同成長段階の個体が最も多くラビングを行った。この結果は、イルカがラビングの相手を選択しており、ラビングには何らかの社会的機能があることを示唆した。得られた知見を4th Young psychologist workshop、日本哺乳類学会自由集会にて発表し、雑誌Marine Mammal Scienceに投稿し、受理された。さらに、ラビング行動は、個体群レベルで左ヒレで行われることが多いことを明らかにし、それは左目で相手を見る傾向が強いことに起因すると考察した。この知見を日本動物心理学会自由集会にて発表した。 1999,02,03年に御蔵島で撮影されたデータから、社会行動の量的分析を行った。また、10月に御蔵島にてフィールド調査を行い、本年度のイルカの接触行動の分析のためのビデオデータを収集した。 7月〜3月に飼育イロワケイルカ新生仔2頭とその母親を観察し、社会行動の発達を分析した。その結果、母子間の接触は、生後直後は体と体の接触の割合が多いが、時間的経過とともに胸ビレと体の接触の割合が多くなることを明らかにした。この知見を日本動物行動学会、2006年度勇魚会シンポジウムにて発表した。 揚子江スナメリ6個体に取り付けた速度・深度・加速度記録計のデータから、社会関係の指標にできると考えられる呼吸同調の分析を行った。その結果、3ペアにおいて有意に多く同調することを明らかにした。この結果は、スナメリが特定の個体と一緒に行動している可能性を示唆した。この知見を、日本水産学会にて発表した。
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