2005 Fiscal Year Annual Research Report
フェミニズム・ジェンダー理論から「恐怖の表象」を分析する、アメリカ地域文化研究
Project/Area Number |
05J10927
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小澤 英実 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | フェミニズム / ジェンダー / アメリカ / ゴシック文学 / ホラー映画 / 身体 |
Research Abstract |
アメリカにおける恐怖の表象を学際的に研究するために、まず本年度アメリカ文学と舞台芸術を重点に置いた。女性の身体的暴力とメディアとの関係を、連続殺人鬼と女性への暴力表象が社会問題になった『アメリカン・サイコ』の小説と映画化作品を事例に、メディアによる世界の仮想現実化がグローバリゼーションと共謀して加速化する様態や、女性への暴力や恐怖を表象する際に表出する、文学と映画の特質上の差異や、表象への検閲がもたらす弊害を検証したほか、恐怖表象とポルノグラフィーとを肉体を媒介に対となるものとして概念化した。 また、フェミニズムの可能性が身体の問題へと収束するにつれ、身体もっとも焦点化されるジャンルである舞台芸術における身体の考察が研究の鍵として浮上した。そこで、暴力的な所作を特徴として、国内外で高い評価を得ているダンス・カンパニー「ニブロール」における、ダンス・音楽・映像の領域横断的なメディアミックスや、特異な身体所作を分析した。そこでは地域という局所性と身体言語の普遍性とのあいだで、グローバルなコンテクストに輸出される身体を、衣服のようなモードとして提起した。 ニューヨークにて、ダンサーへのインタビューを行い、ブロードウェイからポストモダンダンスまでのパフォーマンスの現況および、ゴシック文学・ホラー映画関連の資料を調査した(これは次年度に刊行されるサム・シェパードのゴシック演劇に関する論文と、アメリカホラー映画における日本映画のリメイクに関する国際発表にまとめられる予定である)。また、本研究のアプローチの軸となるフェミニズム・ジェンダー理論の掌握に努め、その成果の一部を『現代批評理論のすべて』におけるフェミニズム関連の用語・理論家解説にまとめた。
|