2005 Fiscal Year Annual Research Report
グラム陰性細菌に分布するカルバゾール分解系オペロンの転写制御機構に関する研究
Project/Area Number |
05J11511
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮腰 昌利 東京大学, 生物生産工学研究センター, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Pseudomonas / 芳香族化合物代謝 / オペロン / プラスミド / マイクロアレイ |
Research Abstract |
1.グラム陰性細菌に分布するカルバゾール代謝系オペロンの転写制御因子の多様性 Pseudomonas resinovorans CA10株が有する難分解性芳香族化合物カルバゾール分解プラスミドpCAR1にはカルバゾール代謝酵素群をコードするcar_<CA10>オペロンが局在する。car_<CA10>オペロンはAraC/XylS familyのアクチベーターAntRにより転写活性化されるプロモーターP_<ant>から転写される。一方Janthinobacterium sp.J3株が有するcar_<J3>オペロンの塩基配列はcar_<CA10>オペロンとほぼ相同だが、GntR familyのリプレッサーCarRによる全く異なる制御機構を有する。本年度、新たに構成的なプロモーターP_<carAa>を同定した。また、CarRの特徴的な結合様式を明らかにした。挿入配列を介したプロモーターの転移に起因するオペロンの多様化が示された。 2.プラスミドpCAR1と宿主クロモソームの協調的転写ネットワーク Pseudomonas putida KT2440株はpCAR1の接合伝達によりカルバゾール代謝能を獲得する。このKT2440(pCAR1)株を用いてマイクロアレイによる網羅的転写解析を行った。 (1)カルバゾール代謝におけるKT2440(pCAR1)株のトランスクリプトームの変化 コハク酸及びカルバゾールで培養したKT2440(pCAR1)株のトランスクリプトームを比較した。カルバゾール培養時にプラスミドの52遺伝子が誘導、17遺伝子が抑制され、クロモソームの76遺伝子が誘導、90遺伝子が抑制された。カルバゾール代謝経路をコードする遺伝子群は顕著な誘導を示した。また、シグマ因子AlgT、RpoH、RpoSをコードする遺伝子が誘導され、カルバゾールがストレス応答を誘導することが示唆された。pCAR1にコードされるグローバル転写制御因子MvaTのホモログと共に、クロモソームにコードされる2種類のホモログの発現変動が検出され、これらを介したプラスミドとクロモソームの相互作用が示唆された。 (2)pCAR1の保持によるKT2440株のトランスクリプトームの変化 コハク酸で培養したKT2440株及びKT2440(pCAR1)株のトランスクリプトームを比較した。pCAR1の保持により27遺伝子が誘導、12遺伝子が抑制された。染色体の分配に関与するATPase群(COG1192)に属する機能未知遺伝子PP3700が顕著に誘導された。
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