2005 Fiscal Year Annual Research Report
中性子過剰な中重核の多核種多チャネル法を用いたインビームγ線核分光
Project/Area Number |
05J11802
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 宏 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 中性子過剰核 / 中性子魔法数 / 多核種多チャネル法 / TOFスペクトロメータ |
Research Abstract |
質量数80近辺の中性子過剰核における、中性子魔法数の変化に対する知見を得るための実験の準備として、次の2点を平行して行った。 1.TOFスペクトロメータの発展(開発の続き) インビームγ線核分光実験における二次標的散乱粒子の質量識別を行うための装置である。前年度の12月に行ったRIビームを用いたテスト実験の結果を元に、装置の性能評価、及び改良を行った。 (1)装置の性能について 陽子数(Z)の決定精度は0.75%(r.m.s.)、質量数(A)の決定精度は0.51%(r.m.s.)であることが分かった。これは陽子数30、質量数80近辺の中重核を分離した場合、それぞれ4.4σ(Z)、2.5σ(A)での分離が可能である。また装置の輸送効率は、陽子非弾性散乱実験の場合、80%から90%であることが分かった。 (2)装置の改良について イベント数の少ない実験においては、装置の輸送効率を少しでも向上させることが重要である。そこで超伝導電磁石の発生させる磁場形状を精度良く計算に入れ、輸送効率が最大になるような設定を求める手法を確立した。 2.今後の実験に向けての準備 前年度の12月に行った、液体水素標的を用いた70Zn破砕片のインビームγ線核分光実験のデータを用い、陽子非弾性散乱チャネルだけでなく、他のチャネル(荷電交換反応、破砕反応等)がどの程度得られるかを解析している。また解析に伴い、63Cr,61Cr,59Ti,58Ti,57Ti等で新しいγ線を発見した。
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