2006 Fiscal Year Annual Research Report
高誘電率材料のフォノン構造の解明、及びMOSデバイスへの最適化
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05J11894
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富田 一行 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | High-k / HfO_2 / 誘電率 / リーク電流 / Si doped HfO2 / WKB近似 / トンネル有効質量 / 結晶相転移 |
Research Abstract |
前年度の研究より、HfO_2に少量のSi原子を添加した材料(Si Doped HfO_2:SDH)が、高温で高誘冠率構造である正方晶構造に結晶化し、高い誘電率(k〜27)を示すことを明らかにしてきた。しかしながら前年度の研究では比較的厚い膜を用いて実験を行っており、sub-nm EOTという極薄膜領域において高い誘電率が維持できるかどうかは明らかではない。またこの種の誘電率制御は膜の結晶化を前提としているため、ゲートリーク電流が増加してしまうのではないかという懸念がある。またバンドオフセットの低下によるリーク電流の増大も懸念される。そこで本年度は10nm以下の極薄膜SDHの電気特性について、MIM構造を用いて研究を行った。 物理膜厚(T_<ph>)が2-10nmの領域でHfO_2、SDH薄膜のCET-T_<ph>プロットを取ると、全ての試料においてこの領域では良い直線性が得られ、かつ800℃でアニールしたSDHのみが小さな傾きを示した。このことは、2nm程度まで薄膜化してもSDHの高い誘電率が維持されていることを示している。次にV_g=1Vにおけるリーク電流密度(J_g)をT_<ph>に対して対数プロットしたところ、4nm以下ではどの試料も同じ膜厚依存性を示した。さらに100Kにおける低温測定では、室温でのJ_g-V_gと同じ特性が得られた。以上の結果から、4nm以下では直接トンネル電流が支配的であり、高誘電率SDHを用いることでEOTの低減が可能であることが示された。 直接トンネル電流はトンネル有効質量(m^*)、バンドオフセット(φ)で記述できる。しかしながら、high-k材料だけのm^*を実験的に評価した報告は無い。本研究ではWKB近似を仮定し、MIM構造におけるm^*を決定することを試みた。その結果、鏡像効果によるバリアの低下を考慮することで有効質量m^*=0.17〜0.20m_0という値を得た。
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Research Products
(4 results)