2007 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和を指向した実践的不斉合成法の開発と創薬への展開
Project/Area Number |
05J11948
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清原 宏 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ケイ素Lewis酸 / 触媒量の活性化剤 / スルポニルイミン / アミド / 金属Lewis酸 / ラクタム |
Research Abstract |
カルボニル化合物を対応するケイ素エノラートへと事前調製することなく、触媒量の活性化剤により系中にて求核種を生成させ、直接的にイミンと反応させるMannich型反応は原子効率が極めて高いために効率性の高い反応である。これまでに合成上有用性の高いエステルやその等価体の直接的な触媒的Mannich型反応の報告はほとんどなされていない。筆者は、求電子剤としてスルホニルイミンを用いることで、触媒量のケイ素Lewis酸と第三級アミンの存在下、N,N-ジメチルアセトアミドのような単純なアミドの直接的なMannich型反応が速やかに進行することを見出した。アミドは最も酸性度の低いカルボニル化合物であり、触媒量の活性化剤を用いる直接的な付加反応は極めて困難とされてきた。 反応は種々の芳香族アルデヒド由来のイミンあるいは異性化を起こしにくい脂肪族アルデヒド由来のイミンに対して適用可能であり、高収率で目的物が得られた。また、ベンズアルデヒド由来のイミンを用いる場合、触媒量を2mo1%にまで減じても反応は定量的に進行することも見出した。さらに、α位にアルキル置換基を有するアミドについても検討を行い、共触媒として一価のトリフルオロメタンスルホン酸銅などの金属Lewis酸を用いることで反応が円滑に進行することを見出した。特にN-メチルピロリジノンなどのラクタムを用いる場合には高収率かつ高ジアステレオ選択的に目的とする付加体が得られることを見出した。さらに、フルフラール由来のスルホニルイミンの反応において一価の銅塩とBINAPとからなる不斉銅錯体を共触媒として用いることで、良好なエナンチオ選択性(69%ee)が発現することを見出した。
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