2005 Fiscal Year Annual Research Report
全ゲノム情報に基づいたファイトプラズマの病原性メカニズムの解明
Project/Area Number |
05J12116
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嵐田 亮 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ファイトプラズマ / ゲノミックアイラント |
Research Abstract |
Candidatus Phytoplasma asteris, onion yellows strainの弱毒株(OY-M)のゲノムには,他の細菌のゲノムでは1コピーしか存在しない遺伝子が複数コピー存在し,その多くは遺伝子クラスターを構成していた.また,OY-Mのtransposaseをコードするtra5遺伝子の約300bp下流には特異的な組換えが認められ,この遺伝子クラスターがゲノミックアイランドとしてファイトプラズマゲノム内を転移した可能性が示唆された.OY-Mと近縁なOY-Wとtra5周辺のゲノム構造を比較したところ,lipoate protein ligase AをコードするlplA遺伝子の上流においてOY-Wにのみtra5遺伝子が認められた.lplAはOY-M, OY-Wの両方に1コピーしか存在しない遺伝子であることがサザンブロット解析から確かめられていることから,OY-Wにのみゲノミックアイランドの挿入が起こった可能性が示唆された.そこで,tra5の上流領域に存在する12種の重複遺伝子について系統解析を行ったところ,ゲノミックアイランド上に存在しない遺伝子はファイトプラズマと近縁な細菌のオーソログ遺伝子とクラスターを組んだが,ゲノミックアイランド上に存在する遺伝子はそれらとは異なるクラスター上に位置した.このことから,重複遺伝子群の一部は遺伝子の水平移動により獲得された可能性が考えられた.そこでGC含量・コドン使用頻度・アミノ酸使用頻度について解析を行ったが,ゲノミックアイランドとそれ以外のゲノム領域との間に差は認められなかった.このことは,これらの重複遺伝子の水平移動がかなり以前に起こった可能性を示唆している.
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[Journal Article] Interaction between the membrane protein of a pathogen and insect microfilament complex determines insect-vector2006
Author(s)
Suzuki, S., Oshima, K., Kakizawa, S., Arashida, R., Jung, H.-Y., Yamaji, Y., Nishiwaga, H., Ugaki, M., Namba, S.
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of Sciences 103・11
Pages: 4252-4257