2006 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌における新規分子標的治療候補遺伝子の同定およびその機能解析
Project/Area Number |
05J52212
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
朴 在賢 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 乳癌 / cDNAマイクロアレイ |
Research Abstract |
われわれは、Laser Microbeam Microdissection (LMM)法によって癌細胞および乳癌の発生母地である正常乳腺細胞を選択的かつ迅速に取得し、81症例の乳癌におけるcDNAマイクロアレイの解析を行い、正確な乳癌の遺伝子発現情報を取得している。乳癌の発生および進展機序を明らかにし、新規治療の標的分子の同定するために、この正確な27648遺伝子からなる遺伝子発現プロファイルの解析およびヒト正常30臓器の遺伝子発現プロファイル解析を用いて、乳癌で高頻度に発現亢進し、ヒト正常臓器、特に生命維持に重要な臓器である心臓、肺、腎臓、肝臓にて発現の低いキナーゼをコードするPBK/TOPK (PDZ-binding kinase/T-LAK cell-originated protein kinase)遺伝子を同定した。PBK/TOPKタンパク質特異的なモノクローナル抗体を用いた免疫組織染色では、乳頭腺管癌・充実腺管癌・硬癌のいずれにも強い染色を認めたのに対し、正常臓器では、精巣では染色を認めるものの、正常乳管細胞および正常重要臓器では全く染色を認めなかった。さらにPBK/TOPKの乳癌細胞における増殖今の関与を調べるために、PBK/TOPK特異的なsiRNA発現ベクターを構築し、これらの発現ベクターを複数の乳癌細胞株に導入した結果、PBK/TOPKの発現は効率的に抑制され、細胞質分裂の異常を示すことでアポトーシスを引き起こし、顕著な細胞増殖抑制効果が認められた。さらに、この遺伝子産物は細胞周期依存的に細胞内局在が変化し、特に有糸分裂初期に活性化され、その後分裂中期にピストンH3を基質として、その10番目のセリン残基をリン酸化することで、細胞増殖促進効果を示すことを証明した。これらの成果は、国際誌Cancer Researchに掲載され、高い評価を得ている。
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Research Products
(1 results)