1994 Fiscal Year Annual Research Report
スラウェシマカクにおける種間雑種の形成と移行帯の構造 -雑種崩落のメカニズム
Project/Area Number |
06041067
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹中 修 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (00093261)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BAMBONG Sury ボゴール農科大学, 理学部, 講師
浜田 穣 岡山理科大学, 教養部, 助教授 (40172978)
後藤 俊二 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (90093343)
藤田 和生 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (80183101)
|
Keywords | アカク / スラウェシマカク / 進化 / 種間雑種 / 分子進化 / 外部形態 / 種の認知 / ツツガムシ |
Research Abstract |
スラウェシマカク中の二種、トンケアナとヘッキの種間雑種が認められる中部スラウェシのパル市近郊クブンコピー地域において、4群30頭の雑種個体を捕獲し、身体各部の検査、外部形態の計測、血液サンプルの採取、外部及び内部寄生虫の検査、精巣のバイオプシー、病理学的な検査を行った。その結果交雑地帯では、全体としては急激な形態的クラインが認められること、ほとんどの個体がアナトリコソーマという内部寄生虫やナンヨウツツガムシ等の外部寄生虫におかされていることなどが明らかになった。さらに大多数の個体は貧血症状をていしていること、交雑地帯の中心部であっても稀に一方の種に近い特徴ばかりをもった群れがあり、必ずしも単純な形態的クラインを示すわけではないことなどが明らかになった。またマラリア原虫も多くの個体の血液中から確認された。ホルモン性状やバイオプシーされた精巣の検査、血清蛋白やミトコンドリアDNA等の分析、詳細な形態特徴の比較などは現在進行中である。 藤田による種間の嗜好性に関する実験は、同島北部にすむ二種について、これまでに行われた三種と同様、オスは自分と同じ種を強く意識するが、メスはその傾向が希薄である事が解った。これらはメスは出自群にとどまり、オスは群れ間を移動するというマカクの繁殖構造との関連で極めて興味深い発見である。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] H.Kakoi,T.Namikawa,O.Takenaka: "Divergence between the Anoas of Sulawesi and the Asiatic Nater buffaloes" Z.zool.Syst.Evolut.-forsch. 32. 1-10 (1994)
-
[Publications] H.Suzuki,Y.Kawamoto,O.Takenaka,I Munechika: "Phxlogenetic Relationships Among Homo sapiens and related species based on Restriction Site Variations in rDNA Spaces" Biochemical Genetics. 32. 257-269 (1994)
-
[Publications] T.Tanaka,M.Matsui,O.Takenaka: "Estimation of Phxlogenetic Relationships among Japanese Brown Frogs from Mitochondrial Cxtochrome b Gene" Zoological Science. 11. 753-757 (1994)
-
[Publications] 竹中 修: "分子進化からみたマカカ属の種分化" 遺伝. 48. 30-34 (1994)
-
[Publications] K.Fujita,K.Watanabe: "Visual preference for closely related species by Sulawesi macaques" American Journal of Primatology. (in press). (1995)
-
[Publications] 藤田和生: "マカカ属の種間で見られる同種への好み" 遺伝. 48. 35-41 (1994)
-
[Publications] 藤田和生: "光と人間の生活ハンドブック" 朝倉書店, (印刷中
-
[Publications] Y.Hamada: "Variations in the Asian Macageres" 東海大学出版局(印刷中),