1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06041084
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
六反田 篤 長崎大学, 歯学部, 教授 (10047821)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 君 中国社会科学院, 考古学研究所, 助理工作員
韓 康信 中国社会科学院, 考古学研究所, 研究員
潘 其風 中国社会科学院, 考古学研究所, 研究員
小山田 常一 長崎大学, 歯学部, 助手 (00244070)
北川 賀一 長崎大学, 歯学部, 助手 (70186237)
真鍋 義孝 長崎大学, 歯学部, 助手 (80131887)
加藤 克知 長崎大学, 医療技術短期大学部, 教授 (70018703)
木下 尚子 梅光女学院大学, 文学部, 助教授 (70169910)
植田 信太郎 東京大学, 理学部, 助教授 (20143357)
|
Keywords | 中国 / 新彊ウイグル自治区 / 江南 / 華南 / 古人骨 / 地域変異 / 時代変異 / 縄文人骨 |
Research Abstract |
日本人の起源の解明や形質の時代的・地域的変位の要因の解明には、日本はもとより周辺地域(中国・朝鮮半島・シベリア・東南アジア・太平洋諸島等)の古人骨の人類学的研究を並行して進展させることが不可欠である。平成6年度の学術調査は、中国西方の時代的・地域的な変異の調査を行う為、新彊ウイグル自治区を中心に行った。調査対象遺跡は、出土人骨数の多い洛浦山普拉叢葬墓遺跡(新彊ウイグル自治区博物館所蔵)と阿拉溝叢葬墓遺跡(新彊文物考古研究所所蔵)とし、人骨の保存状況の確認・クリーニング・復元・計測・観察を行った。新彊ウイグル自治区出土人骨の中には、顔面形態の一部に、日本の縄文人骨との間に類似性が指摘されている個体も多く存在する。この類似性について、両者間に直接的な遺伝的関係があったことは考えにくいが、系統的に何らかの類縁性を示すことに対し一概に否定することはできない。今年度の調査ではほんの一部のデータしか得られていないため統計処理可能な数に達しておらず、結果について詳細を述べることはできないが、同一遺跡出土人骨の中には、コーカソイド的な特徴を持つ個体とモンゴロイド的な特徴を持つ個体とが混在する傾向が観察上は認められる。また、上顎中切歯のシャベル型や複シャベル型等いくつかの形質では、両者間の類似性が認められるが、カラベリ-結節等の臼歯部の形質のいくつかは類似性を示さない傾向があり、総合的な判断は次年度の調査を待たねばならない。今年度は、新彊の調査に加えて上海自然博物館所蔵の江南・華南地区の古人骨についても観察を行った。特に常州市周辺の遺跡から出土した新石器時代の人骨は、出土体数も豊富で保存状態も比較的良好であった。期間が短かったため全般的な観察に留めたが、頭骨の形態的には南方モンゴロイド的な要素が認められ、歯の形態的には北方モンゴロイド的な特徴がいくつか認められた。
|