1994 Fiscal Year Annual Research Report
揚子江流域における古代水田址に関する農学及び考古学的調査研究
Project/Area Number |
06041087
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
藤原 宏志 宮崎大学, 農学部, 教授 (40040860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯 陵華 江蘇省農業科学院, 助教授
谷 建祥 南京博物院, 講師
鄒 厚本 南京博物院考古学研究所, 所長
劉 軍 浙江省文物考古研究所, 副院長
鄒 江石 江蘇省農業科学院, 副院長
徐 湖平 南京博物院, 副院長
宇田津 徹朗 宮崎大学, 農学部, 助手 (00253807)
中村 慎一 金沢大学, 文学部, 講師 (80237403)
佐々木 章 大分短期大学, 園芸科, 助教授 (60105210)
佐藤 洋一郎 静岡大学, 農学部, 助教授 (20145113)
俣野 敏子 信州大学, 農学部, 教授 (00021080)
岡村 秀典 京都大学人文科学研究所, 助教授 (20183246)
柳沢 一男 宮崎大学, 教育学部, 助教授 (50239802)
工楽 善通 奈良国立文化財研究所, 室長 (00000472)
都出 比呂志 大阪大学, 文学部, 教授 (90025065)
佐々木 高明 国立民族学博物館, 館長 (10031692)
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Keywords | プラント・オパール / 炭化米 / 水田址 / 馬家浜文化 / 河姆渡文化 / 草鞋山遺跡 / 城頭山遺跡 / 東周時代 |
Research Abstract |
平成6年度は当該研究の初年度であり、予備的調査も含め江蘇省:草鞋山遺跡、湖南省:城頭山遺跡および浙江省:河姆渡遺跡で次のような調査研究を行った。 1.草鞋山遺跡 草鞋山遺跡は蘇州市東部に位置する馬家浜文化期(B.P.6400-6000)の遺跡で、1970年に南京博物院が同時代の墓址および住居址を発掘している。この調査で馬家浜文化期の住居址から炭化米が検出された。本調査研究では、当該遺跡で出土した炭化米が生産された場所を分析的に探査し、その生産遺構を発掘しようとするものである。 1970年の発掘地点から東へ約200m離れた現況水田で約300本のボーリング調査を行い、地表下約2.8m(馬家浜中期文化層)に水田址が埋蔵されている区域を特定することができた。同区域の発掘調査を行った結果、地山に堀込まれた馬家浜中期の水田状遺構10数面を検出した。 この水田状遺構は平野の低地にほぼ2列に連なる帯状を呈し、各区画の大きさは1〜6m^2と小型であり、畦畔には水口を備えるものもある。ここで検出されたイネのプラント・オパール密度は1×10^5個/gに達するものであり、相当長期に渡って稲作が行われたことを示している。また、この水田状遺構からは炭化米も検出されている。また、この水田状遺構より上層で東周時代(B.P.1800年)の水田が数面検出された。 日本以外の国で先史時代の水田が発見された例はなく、本調査研究で検出された東周期の水田は世界最古である。また、今後の調査により、馬家浜文化期の水田状遺構が水田と確認されれば、さらに水田史の時代を遡らせることになる。 城頭山および河姆渡遺跡 城頭山および河姆渡遺跡のボーリング試料を分析した結果、河姆渡遺跡東部地点で河姆渡文化期と想定される土層でイネのプラント・オパールを検出した。これらの遺跡調査は次年度遺構に精査される予定である。
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