1994 Fiscal Year Annual Research Report
マダガスカル島における鳥類の社会進化の研究-オオハシモズ類を中心として
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06041093
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山岸 哲 大阪市立大学, 理学部, 教授 (80101286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 尚志 国立環境研究所, 主任研究員 (00202226)
日野 輝明 森林総合研究所, 農林水産技官 (80212166)
江口 和洋 九州大学, 理学部, 助手 (60136421)
下田 親 大阪市立大学, 理学部, 教授 (80047290)
森岡 弘之 国立科学博物館, 動物研究室, 室長 (30000128)
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Keywords | マダガスカル島 / オオハシモズ科 / 共同繁殖 / 鳥類社会 / 種内関係 / 種間関係 / DNAフィンガープリンティング / ミトコンドリアDNA |
Research Abstract |
アンピジヨロア調査区でアカオオハシモズ14グループの繁殖を確認し、このうち12グループの26巣を発見し、個体識別した後ヒナも含めて採血した。一夫一妻ペアが8グループ、一夫一妻ペアに亜成鳥雄(1歳で前年その巣で巣立った子供である可能性がある)のヘルパー付きが3グループ、二夫一妻が2グループ、二夫一妻に亜成鳥雄のヘルパー付きが1グループであった。成鳥2雄の二夫一妻と考えられるグループにおいては雄間に順位が認められ、優位雄(α雄)は、繁殖ステージ初期には劣位雄(β雄)の巣や雌への接近を妨害する行動が観察された。ヒナの孵化後はβ雄の巣への接近を許容するようになり、β雄もヒナへの給餌と巣の防衛を分担して行った。α雄とβ雄が同一雌と交尾した例も1例観察された。今回の調査の結果、アカオオハシモズの共同繁殖様式に大きな種内変異が存在することが明らかになった。また各グループ内の構成員の繁殖への関わり方についても詳細に資料を得ることができた。今後、採集した血液標本のDNA分析の結果が出れば、この大きな種内変異の意味付けも可能となろう。繁殖期の混群の核種はアカオオハシモズであり、混群の中でも順位が観察され、アカオオハシモズ>ルリイロマダガスカルモズ=マダガスカルオウチュウ>テトラカヒヨドリ>ニュートンヒタキ=マダガスカルサンコウチョウの順であった。他種の存在の有無による各種の採餌効率は、撮影したビデオテープを解析することによって明らかになる予定である。頭骨と顎筋の解剖学的所見から、オオハシモズ科の分類学的考察をするために、カギハシオオハシモズ、アカオオハシモズ各1羽を調査地外で採集持ち帰り、現在検討中である。また、オオハシモズ科の生化学的系統分類をするために、チンバザザ動植物園の仮剥製標本の皮膚を、1cm^2ほど、12種にわたり持ち帰り、現在ミトコンドリアDNAのチトクロームb遺伝子の領域を比較分析中である。
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