1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06041108
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
竹田 旦 創価大学, 文学部, 教授 (60015360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池 春相 韓国, 全南大学校・人文科学大学, 教授
金 善豊 韓国, 中央大学校・文科大学, 教授
趙 成日 中国, 中国作家協会延辺分会, 常務首席
尹 成奎 中国, 北京師範大学・中文系, 講師
朴 昌黙 中国, 延辺民間文芸家協会, 副首席
金 錦子 中国, 中央民族大学・中文系, 副教授
依田 千百子 摂南大学, 国際言語文化学部, 教授 (20149149)
津波 高志 琉球大学, 法文学部, 教授 (90128489)
植野 弘子 茨城大学, 教養部, 助教授 (40183016)
朝倉 敏夫 国立民族学博物館, 第一研究部, 助教授 (40151021)
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Keywords | 延辺朝鮮族自治州 / 国際民俗調査団 / 朝鮮族民俗文化 / 文化接触 / 文化変容 / 漢化(漢族文化化) / 文化大革命 / 朝鮮族民俗博物館 |
Research Abstract |
平成6年8月下旬から9月上旬にかけて約3週間、日本・中国・韓国の3か国研究者によって国際民俗調査団を編成し、中国吉林省延辺朝鮮族自治州において、朝鮮族民俗文化に対して共同民俗調査・個別民俗調査を実施した。共同調査地は安図県長興郷新屯村・竜井市三合鎮北興村・図們市凉水鎮亭岩村の3村落。個別調査は延吉市の延辺市大学図書館・延辺朝鮮族民俗博物館、竜井市の竜井朝鮮族民俗博物館など。共同調査地のうち新屯村・亭岩村は1930年代、慶尚道・忠清道からの政策移民農村、北興村は咸鏡道からの自由移民農村。調査の結果、3か村とも漢族文化との文化接触により文化変容を起こしているとともに、母国母村の伝統的民俗文化をなお維持していることが判明した。とりわけ衣食住の生活文化について、その傾向が高く、地域性を帯びつつも、総じて朝鮮族としての特色を保持していた。それに対して、歳時習俗・通過儀礼などの儀礼文化については漢化(漢族文化化)を進めていた。とくに、1945年の第二次大戦終戦・中国領化と1960年代末から約10年間つづいた文化大革命によって、生活の根底にまで深刻な影響を受け、多くの民俗文化が衰退したといわれる。たとえば、朝鮮族に基本の「孝」の思想・儀礼も大きな打撃を被り、葬礼・祭礼にまで簡略化が及んでいた。さらに、近来は自治州政府の主唱により、老人節(老人の日)や9・3慶祝節(自治州政府設立記念日)などの新しい民俗文化が生まれている。また最近、中国政府による「集制」(集団農業・集団生活など)が廃されて「個制」に移って以来、個人・家族の独立、資本主義的経済の浸透が急速で、多様な生活様式の追求が保証され、これも民俗文化の変化に連なっている。平成6年12月、東京で共同研究会を開き、これらの問題点に対して、各研究課題ごとに事例の追加、韓国の民俗資料との対比を試み、併せて平成7〜8年度の調査計画の調整を図った。
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