1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06041108
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
竹田 旦 創価大学, 文学部, 教授 (60015360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池 春相 韓国, 全南大学校・人文科学大学, 教授
金 善豊 韓国, 中央大学校・文科大学, 教授
金 錦子 中国, 中央民族大学・中文系, 副教授
郭 崇林 中国, 哈爾濱師範大学・中文系, 副教授
江 帆 中国, 遼寧大学・民俗研究中心, 副教授
烏 丙安 中国, 遼寧大学・民俗研究中心, 教授
津波 高志 琉球大学, 法文学部, 教授 (90128489)
須藤 護 竜谷大学, 国際文化学部, 教授 (70216480)
植野 弘子 茨城大学, 人文学部, 助教授 (40183016)
朝倉 敏夫 国立民族学博物館, 第一研究部, 助教授 (40151021)
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Keywords | 中国東北部朝鮮族 / 民俗文化 / 黒竜江省 / 遼寧省 / 吉林省 / 文化変容 / 民族性 / 文化大革命 |
Research Abstract |
平成6年度の吉林省,同7年度の遼寧省に引きつづき,同8年度には黒竜江省内の朝鮮族集団居住地区として五常市民楽朝鮮族郷を選び,郷内の3か村において,7月28日〜8月7日の間,国際共同調査を実施した。ここは1940年代の初め,朝鮮族による水田開拓の着手に伴い,各地から朝鮮族が集まって形成された地区で,平野の中心部に位置する稲作農村としての景観を有している。他地区に比して生活レベルが高く,それだけに漢化も進んでいた。しかし,近来の中国政府による改革開放政策とともに伝統的な民俗文化も復活の萌しを見せている。たとえば火葬骨を河川に撒く「散骨葬」が普及しているのに,遺骨を墓に埋葬する方式も現れ,総じて墓地の確保に関心を寄せるふうであった。同8月8日〜29日には,各人・各班ごとに東北3省各地で補充的な課題調査を続行した。日韓両国の団員一同は,遼寧省寛甸満族自治県の最奥部に位する下露河朝鮮族自治鎮を選んで課題調査を実施した。ここは民楽郷とは対照的に,周囲を山々に囲まれた山村地区で,1〜2代前の祖先が鴨緑江を越えて移り住み,田畑を開拓した越境移民の村でもあった。したがって対岸の北朝鮮平安道との関係が深く,民俗文化において朝鮮族と漢族との接触・交流による文化変容,民族性の維持などの課題を探るのに適地と思われた。ここでは公的に土葬が認められ,墓をめぐる習俗に伝統を留めていた。民家にも古風な形態を残す一方,漢族の様式を採り入れるなど,中朝折衷ともいえる住文化が認められた。朝鮮族の民俗文化は第二次大戦後の政治的・経済的な変動,たとえば土地改革・人民公社制の実施,とくに1966年〜1976年の文化大革命によって深刻な打撃を受けた。ところが近来,政府の改革開放政策の推進,中韓両国の交流増進等によって,伝統的な民俗文化に復活の気配が現れており,それがどこまで進展するかに世人の関心が集まっていた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 津波,高志: "中国東北地方朝鮮族農民の生活史-遼寧省の金承男爺さんの場合(1)-" 琉大アジア研究. 創刊号. 27-42 (1995)
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[Publications] 津波,高志: "中国東北地方朝鮮族農民の生活史-遼寧省の金承男爺さんの場合(2)-" 琉大アジア研究. 第2号. (1996)