1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06041128
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
田村 克己 国立民族学博物館, 第二研究部, 助教授 (40094156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AWANG Hasmad マレーシア国民大学, 社会科学人文学部, 助教授
YUN Hui Timo シンガポール国立大学, 人文社会学部, 講師
TAPP Nichola エディンバラ大学, 人類学部, 講師
土佐 桂子 上智大学, アジア文化研究所, 研究員
鈴木 涼子 東京外国語大学, AA研, 助手 (20262214)
三尾 裕子 東京外国語大学, AA研, 助教授 (20195192)
上杉 富之 国立民族学博物館, 第二研究部, 助手 (00250019)
富沢 寿勇 静岡県立大学, 国際学部, 助教授 (70180164)
田辺 繁治 国立民族学博物館, 第二研究部, 教授 (00045262)
村上 勝彦 東京経済大学, 経済学部, 教授 (60096451)
今村 仁司 東京経済大学, 経済学部, 教授 (60096378)
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Keywords | 社会変動 / 上座部仏教 / 移動 / エスニシティ / 華人 / 宗教復興 / イスラム / 重層的ネットワーク |
Research Abstract |
平成7年度は、上座部仏教圏、イスラム社会圏、華人社会圏のそれぞれにおいて、各研究者がその役割分担に従って、調査地を設定し、集約的現地調査を行った。 上座部仏教圏では、Tappが昨年度(平成6年度)の東北タイの少数民族における調査結果を受けて、ラオス・タイ国境付近の少数民族の社会・経済変動にともなう彼らの知識の再編、自己/他者概念の再構築の過程を明らかにした。田辺は、タイ・ラオス・ヴェトナムにおける人の移動に焦点をあてた調査を行い、それが彼らの道徳概念に与える影響について考察した。他方、鈴木は、南タイにおいて経済発展が伝統的社会の急激な変容、エスニシティの境界の変化を生み出しつつあることを見いだした。また、土佐は、ビルマにおける経済変化の中で、伝統宗教が政治的脈絡の中に用いられていることを明らかにした。田村は、ビルマの変動の実態と社会倫理の再編について調査している。 華人社会では、三尾とTsuが協力して現地調査を行い、台湾・シンガポール・マレーシアの近代化のもとで、伝統的宗教の復興運動が活発化していることを明らかにした。また、村上はラオスと東北タイの都市およびその周辺において、華人、華僑の社会組織、経済実態について綿密な調査を行う。 さらに、イスラム社会圏では、富沢が東マレーシアのバジャウ社会において現地調査を行い、地域や国を越えた人の移動と民族やアイデンティティの再編成、重層的ネットワークの存在を明らかにしている。上杉はAwangと協力して、東マレーシアでの変動の実態をミクロなレヴェルで引き続き調査している。 今年度の研究では、各調査地域において東南アジア特有の国家と宗教の関係が存在しており、変動する東南アジアにおける社会倫理を理解するには、これを踏まえた新しい理論の構築が必要とされることが確認される一方で、その理論づくりの基礎となるデータの収集に成果がみられた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 田村 克己: "ラオス、ルアン・パバーンの新年の儀礼と神話" 松原孝俊・松村一男 編 『比較神話学の展望』青土社. 157-177 (1995)
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[Publications] 富沢 寿勇: "東南アジア海域世界の国家と海洋民" 川勝平太・塩田光喜 編 『海洋島嶼国家の現像と変貌』アジア経済研究所. (予定). (1996)
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[Publications] 三尾 裕子: "シンガポール華人の伝統宗教と組織化運動" 『地域性の形成論理』報告書. (予定).
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[Publications] 西井(鈴木)涼子: "南タイのムスリム・仏教徒混住村落における親族と婚姻" 『地域性の形成論理』報告書. (予定).
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[Publications] 上杉 富之: "イスラムと儒教の対話-多民族国家マレーシアにおける新しい民族関係の模索" 『民族学研究』. 60巻 3号(予定).