1994 Fiscal Year Annual Research Report
中国の唾液腺癌におけるエプスタイン・バ-ルウィルス感染に関する病理学的研究
Project/Area Number |
06042004
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
朔 敬 新潟大学, 歯学部, 教授 (40145264)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
劉 あい如 上海第二医科大学, 口腔医学院, 教授
徳永 正義 鹿児島市立病院, 病理研究検査室, 部長
程 くん 新潟大学, 歯学部, 助手 (40207460)
福島 祥紘 新潟大学, 歯学部, 助教授 (00018631)
|
Keywords | 唾液腺 / EBウイルス / リンパ上皮腫 / 中国 / 免疫組織化学 / 分子生物学 / ISH / PCR |
Research Abstract |
今年度は、日本側研究代表者および分担者が中国に出張して、中国側研究分担者あるいは協力者と共同で、唾液腺リンパ上皮腫を中心にエプスタイン・バ-ルウィルス(EBV)感染の推測される腫瘍について症例を収集した。これらの一部の試料は日本に持ち帰り、それらすべての組織内にEBV遺伝子の存在を確認した。 (1)症例収集:朔と程は平成6年12月、中国を訪問し、唾液腺リンパ上皮腫症例を、上海第二医科大学で14例、華西医科大学で、10例、昆明医学院で7例、中山医科大学で12例抽出した。これらの症例については、各地の研究分担者および協力者と共同で病理組織学的な評価をおこない、組織ブロックを新潟に持ちかえった。同時に徳永は北京と香港に出張して、同様な病理組織学的な検討を現地の研究者と合同でおこない、組織ブロックの郵送を依頼した。同時にその他の腫瘍(ワルチン腫瘍、扁平上皮癌)といわゆる良性上皮リンパ性病変を示すシェ-グレン症候群等の慢性唾液腺炎の症例についても検討することにした。 (2)疫学調査:各地において、疫学調査の具体的方法を協議し、調査方法の様式を定めた。とくに患者の民族、出身地を強調し、現在調査進行中である。 (3)組織化学的実験:(1)で収集した症例のパラフィンブロックから連続切片を作製し、病理組織学的に再検討後、免疫組織化学的に検索したところ、すべての症例の腫瘍細胞で、EBV関連分子の潜在膜抗原LMA陽性がえられた。 (4)分子生物学的実験:(3)と同様に作製したパラフィン切片について、EBVのコードするsmall RNA(EBER-1)の発現を検索するためにその相補的なRNAプローブを用いて、in-situハイブリダイゼーション(ISH)おこない、検索したすべてのリンパ上皮腫症例の癌細胞に陽性をみた。さらに、切片よりDNAを抽出しPCR法によって増幅し、EBVDNA断片を検索したすべてのリンパ上皮腫症例で検出することができた。
|
-
[Publications] 朔 敬: "唾液腺癌とEBV." 最新医学. 49(10). 1979-86 (1994)
-
[Publications] 朔 敬、程くん、徳永正義: "唾液腺未分化癌におけるE-Bウィルス." 日本病理学会会誌. 83(1). 173 (1994)
-
[Publications] Yamamoto N,Tokunaga M,Uemura Y,Tanaka S,et al.: "Epstein-Barr virus and gastric remnant cancer." Cancer. 74(3). 805-9 (1994)
-
[Publications] Uemura Y,Tokunaga M,Arikawa J,Yamamoto N,et al.: "A unique morphology of Epstein-Barr virus-related early gastric carcinoma." Cancer Epidemiology,Miomarkers & Prevention. 3. 607-11 (1994)