1995 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍活性ジテルペノイドの検索、構造並びに化学変換に関する研究
Project/Area Number |
06042007
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
富士 薫 京都大学, 化学研究所, 教授 (20027056)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井 利夫 神戸学院大学, 薬学部, 助教授 (50122255)
新宮 徹朗 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (20068216)
李 波 中国科学院, 昆明植物研究所, 研究員
孫 漢董 中国科学院, 昆明植物研究所, 教授
田中 圭 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50093266)
|
Keywords | 中国産イチイ科植物 / 抗腫瘍活性 / Taxus chinensis / タキソ-ル / ジテルペン / 構造解明 / 核磁気共鳴法 / 立体配座 |
Research Abstract |
イチイ科植物から単離されるタキソ-ルは乳癌、卵巣癌等に対して強い抗腫瘍活性を持つことと作用機序の特異性の面から今日最も注目されている天然由来の抗癌剤の一つで、1990年代の抗癌剤と称されている。本研究ではタキソ-ルと同等もしくは優る新規タキソ-ル類似抗癌活性物質の確保と開発を目的とし、中国産イチイ科植物を調査研究の対象として調査研究を継続している。新骨格を持つリ-ド化合物の発見と活性物質への科学変換が可能なタキソイドの検索を行ない本年度は以下の実績を残した。中国雲南省に広く分布し生育するイチイ科植物Taxus chinensis,Taxus chinensis ver. mairei 並びにTaxus yunnansisの成分検索を行ない本年度も数種の新ジテルペン化合物の単離とそれらの構造解明に成功した。タキサン系化合物のように複雑な骨格の多くの異なる官能基を有する化合物の構造解明には非破壊的手法としての2次元核磁気共鳴法が特に効果的で、HMBC並びにROSY法により置換基の結合位置を解明した。また一部の化合物についてはX-線解析により最終的に構造解明を行なった。これらの新化合物は大部分我々が以前初めて天然から単離したtaxchinin A型の5/7/6系新骨格化合物であった。この型のジテルペンは溶液中で2種以上の立体配座の混合物として存在することが前年度の研究により明かとなっているが、本年度もそれらの詳細な解析を行なった。抗癌活性に必須と言われているタキソ-ルのC-13位側鎖をこれまで本研究で単離された新化合物への導入のため、新たに中国雲南省萠江鳴音保炉区においてTaxuschinensisの採集とエキス調製を行なった。これらから活性物質への化学変換に必要な5/7/6型を含む化合物の大量の単離とその化学変換、並びに立体配座データや計算化学データに基づく人工設計抗癌剤の開発に関する検討もあわせ開始した。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 富士薫、田中圭、他: "Structures of Nine New Diterpenoids from Taxus Chinensis" Tetrahedron. 51(37). 10175-10188 (1995)
-
[Publications] 富士薫、田中圭、他: "Structures of Taxchinins L and M,Two New Diterpenoids from Taxus Chinensis var. mairei" Chemical and Pharmaceutical Bulletin. 44(発表予定). (1996)