1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06044023
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
経塚 啓一郎 東北大学, 理学部, 助手 (40124573)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ELISABETTA T ナポリ臨海実験所, 細胞生物部門, 研究員
BRIAN Dale ナポリ臨海実験所, 細胞生物部門, 研究員 教授
|
Keywords | ユウレイボヤ / 受精機構 / 精子結合部位 / 卵付活 / 減数分裂 / 細胞周期 / カルシウムイオン / カルシウムオッシレーション |
Research Abstract |
ユウレイボヤ未受精卵にミスラマイシンAを顕微注射した後に触精すると、卵の第一減数分裂中期染色体とは反対側に精子染色質からの蛍光が観察され。このことはホヤ卵の精子侵入部位が植物極側卵表であることを示唆する。 ユウレイボヤ卵の、受精及び減数分裂過程の細胞内カルシウムイオン変化を調べた。卵外囲構造(コリオン)を除去したユウレイボヤ裸卵にカルシウム感受性蛍光物質、カルシウムグリーン、デキストラン(分子量10,000)を注射し精子を加えた。受精直後の一時的なカルシウム増加に続いて数回の周期的なカルシウム変化(オッシレーション)が約5分間続いた。これが終了した後5〜7分すると再び2回目のカルシウムオッシレーションが10分程継続した。以後は二細胞期まで顕著なカルシウムイオン変化は観察されなかった。第一、第二極体の放出はそれぞれ1回目、2回目のカルシウムオッシレーションの直後に起こった。ホールセルクランプにより膜電流を同時に測定すると、受精時の内側電流の後、最初のオッシレーションの期間は電流の変化は観察されず、2回目のオッシレーションの期間はそれぞれのオッシレーションに対応して内側電流が観察された。このことは1回目と2回目のオッシレーションが異なるカルシウムソースによる可能性を示す。ヒストンH1カイネース活性を調べると、未受精卵(第一減数分裂中期)で高く、第一極体放出直後に低下し、第二減数分裂中期に再び上昇し、減数分裂完了時に低下した。1回目のカルシウムオッシレーション及び第一極体放出後にカルシウムキレーターBAPTAを顕微注射すると、2回目のカルシウムオッシレーションは抑制され、第二極体放出も起こらない。このことは細胞内カルシウムイオンがセカンドメッセンジャーとして卵減数分裂の制御と密接に関連していることを示唆する。
|