1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06044066
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木暮 一啓 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (10161895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KEIL R.G ワシントン大学, 海洋学部, 研究員
KICHMAN D.L デラウェア大学, 海洋学部, 教授
永田 俊 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助手 (40183892)
小川 浩史 東京大学, 海洋研究所, 助手 (50260518)
小池 勲夫 東京大学, 海洋研究所, 教授 (30107453)
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Keywords | 高分子有機物 / 海洋細菌 / 分解実験 |
Research Abstract |
本研究は海洋の高分子有機物の生化学的性状や分子量の相違などがその微生物分解にどのように関わっているかを実験的に明らかにすることを目的としている。 このためにまず、海洋細菌、Vibrio alginolyticusをグルコースとL-[^<14>C-U]leucineの存在下で培養したもの、海産珪藻、Skeletonema costatumを、[^<14>C]Na_2CO_3の存在下で培養したものそれぞれから膜および可溶性分画を得、これを分解実験の標品として用いうるかどうかにつき検討した。その結果、V.alginolyticusについては(1)可溶性分画中の放射能のうち、核酸に移行したものはわずかである、(2)膜分画中の放射能のうち、脂質に移行したものはわずかである、(3)いずれの分画も、タンパク当たりの比活性はほぼ同じである、(4)可溶性分画は85%がプロテアーゼで容易に加水分解されたが、膜分画では20%にとどまる、ことなどがわかった。また、S.costatum二ついては可溶性分画中を分子量分画し、それぞれの分画中の放射能のマスバランスを求めた。これらの結果から、今回得た高分子標品が分解実験に用いるのに適していることが明らかになった。 V.alginolyticusから得た標品を用い、Delaware湾の海水中の微生物による分解実験を行い、経時的に^<14>C-CO_2の生成量を測定した。この結果、可溶分画からのCO_2生成量が膜分画からのそれを大きく上回ることがわかり、同じ細菌由来のタンパクでも、その種類や存在状態によってその分解速度が大きく異なることが明らかとなった。この知見は、海水中の様々な高分子有機物の分解機作を明らかにしていくためのモデルとして、今後様々な研究への展開をしていくことが期待される。
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