1994 Fiscal Year Annual Research Report
電子線構造解析によるアセチルコリン受容体イオンチャンネルの開閉機構の解明
Project/Area Number |
06044078
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊島 近 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (70172210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
UNWIN Nigel MRC分子生物学研究所, 神経生物学部門, 部長
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Keywords | アセチルコリン受容体 / イオンチャンネル / 電子顕微鏡 / 構造解析 / 膜蛋白質 |
Research Abstract |
本研究の目標は一つには、アセチルコリン受容体の三次元構造をより高分解能で解析することであり、もう一つには、開口状態、脱感作状態の構造を調べ、イオンチャンネルの開閉機構を明らかにすることであった。本年度はまず、より高分解能の構造を解くことを主目的とし,ソフトウェアの開発と移植を行った。 高分解能での解析に関しては、特に(1)チューブ状結晶の格子の歪みの補正方法、(2)コントラスト伝達関数の形の決定方法について意見を交換し有益であった。(1)に関しては、英国側はチューブの電子顕微鏡像を三分割し、それぞれのセグメントでらせんの軸の位置を逆空間で最適化する方法を、我々は二次元結晶と同様に実空間で補正する方法を開発している。それぞれに、長所と短所があるので両者を組み合わせる方法を検討している。(2)に関しては、新しい手法を我々が開発し、代表者の二度目の渡英時に英国側の計算機に移植した。その結果、電子顕微鏡像によって、うまく働かない場合もあることが判明したので、プログラムの改良を行っている。このプログラムは一般的に有用であり、まったく異なった計算機への移植も成功したので近日中に公表予定である。 異なった生理的状態の構造解析に関しては、代表者の渡英時に数多くの試料の調製を行ったほか、英国から持ち帰った試料を用いて実験を行った。これまでの問題点の一つであった、試料の濃度に関しては、チューブ状結晶の構造をまったく乱さず濃縮できることが判ったので、今後、実験の能率はずっとよくなるであろう。
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