1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06044120
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 矩行 京都大学, 理学部, 教授 (30025481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ジェフェリー ウィリアム カリフォルニア大学, ボデガ海洋研究所, 教授
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Keywords | 脊索動物 / 起源と進化 / T遺伝子 / 脊索 / 無尾幼生 / 有尾幼生 / ホヤ / ナメクジウオ |
Research Abstract |
我々ヒトを含めた脊索動物がどのような動物に起源し、どのような進化の過程を経て生まれてきたのかを、脊索動物を特徴づける最も重要な形質である脊索の分化を中心に分子発生生物学的に解析することを目的とした。最近になってマウスのT遺伝子がクローニングされたが、原始的な脊索動物であるホヤのT遺伝子ホモログを我々が調べたところ、ホヤのT遺伝子は発生にともなって脊索細胞でのみ発現することがわかった。したがって、新口動物の進化とともにこの遺伝子がどのように組織化されたかを調べることによって、脊索動物の起源と進化を分子生物学的に研究する道が開かれた。本年度の研究では次のようなことが明らかになった。 1.ナメクジウオのT遺伝子断片を得て、それをプローブにこの遺伝子の発現を調べたところ、のう胚期から中胚葉領域で発現し、神経胚では体節形成域に強い発現が残ることがわかった。 2.棘皮動物のウニのT遺伝子のcDNAクローンを単離しその発現を調べたところ、発現は間充織胞胚期からプリズム幼生期にかけて一過的におこり、しかもその発現は第2次間充織細胞の創始細胞に限定されることがわかった。ナメクジウオでの結果とも合わせると、T遺伝子は内胚葉から中胚葉が分化する時に働らいているらしいという全体像が見え出してきている。 3.ホヤの仲間に通常のオタマジャクシ幼生を作らずに無尾幼生を生じる種がいる。このホヤの胚では脊索予定細胞は存在するが脊索は分化しない。そこでこの無尾種でのT遺伝子の存在・発現を調べたところ、無尾幼生でもT遺伝子が発現していることがわかった。したがって無尾幼生ではT遺伝子の下流に異常が生じたものと思われる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hitoyoshi Yasuo: "An ascidian homolog of the mouse Brachyury (T) gene is expressed exclusively in notochord cells at the fate restricted stage" Develop.Growth Differ.36. 9-18 (1994)
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[Publications] Noriyuki Satoh: "Chasing tails in ascidians.Developmental cue for probing the origin and evolution of chordates" Trends in Genetics. 11(in press). (1995)
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[Publications] Kouzou Terazawa: "Spatial expression of an amphioxus Brachyury (T) gene during early embryogenesis of Branchiostoma" Develop.Growth Differ.(submitted).
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[Publications] Hishito Harada: "A sea-urchin homologue of the mouse Brachyury (T) gene is expressed in the secondary mesenchyme founder cells" Development. (submitted).
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[Publications] Noriyuki Satoh: "Developmental Biology of Ascidians" Cambridge University Press, 234 (1994)