1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06044244
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
牛島 廣治 東京大学, 医学部, 教授 (10091068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HAQUE M 国立研究所(バングラデシュ), 微生物学, 講師
SUPAWADEE J チェンマイ大学(タイ), 微生物学, 講師
MULLER WEG マインツ大学(ドイツ), 応用生化学, 教授
方 寅肇 国立公衆衛生院中国, 病毒研究所, 組長
GRINDE Bjorn ノールウェー公衆衛生院, ウイルス部, 室長
WEN Leying 中国医学科学院, 病毒研究所, 技官
長谷川 斐子 国立予防衛生研究所, 感染疫学部, 主任研究官 (10132896)
西尾 治 国立公衆衛生院, 微生物学部, 室長 (40270631)
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Keywords | 下痢症ウイルス / ロタウイルス / 小型球形ウイルス / アデノウイルス / アストロウイルス / ノ-ウォークウイルス / 分子疫学 / アジア |
Research Abstract |
(1)ロタウイルスの地域、年による遺伝子の変異:ロタウイルスは型特異性があり、1つの型のみのワクチンでは下痢症の発症は押さえられないため、現在1-4型の多価ワクチンが開発されている。しかし一番効果的なワクチンは現時点でその地域に流行している株に対するものであり、そのためには現在、過去の各地域(世界)で流行している株の遺伝子、アミノ酸の配列の変異を知る事は重要である。1型、2型に続き今年度は3型について日本と中国で行ったところ興味深い結果を得た。 中国の5株、日本の培養株および糞便株16株はあらかじめモノクローナル抗体およびRT-PCRによって3型とわかっていた。しかし中国の2株は2型のモノクローナル抗体とも反応を示していた。また日本の2株については第10および第11分節間の幅が、他の株に比較し広いことがわかっていた。VP7遺伝子の解析の結果から他の血清型と比較すると3型内の相同性が低いことがわかった。また中国の株、日本の株、日本の10-11間の幅の広い株間には系統樹で隔たりがあった。2型のモノクローナル抗体と反応した2株は、遺伝子解析でのアミノ酸配列でもEエピトープ領域で2型に類似していた。これらのことは血清型間には隔たりがあっても、エピトープ領域郡では2つにまたがる場合があることがわかった。この事はワクチンの開発にも重要である。 (2)下痢症ウイルスの診断:91年から92年の中国の147下痢便でロタウイルスの血清型を調べたところ1型が76検体、2型が2検体、3型が1検体、4型が1検体で残りは判定不能あるいは陰性であった。マレーシアの177検体中48検体が1型であった。残りは判定できなかった。タイの検体では60検体中ロタウイルス1型が27検体、2型が7検体、1および2の混合が5検体、血清型4が1検体であった。従ってこれらの国では近年1型が多いものの他の型の存在も認められた。アデノウイルスも僅かながら認められた。小型球形ウイルスについては現在解析中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nishio O & Ushijima H: "Viral Infection among infants with diarrhea in Pakistan" J.Jpn.Assoc.International,Health. 10. 109-110 (1996)
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[Publications] Nakayama M & Ushijima H: "Detection and squencing of Norwalk-like virouses from stool samples" Microbiology and Immunology. 40. 317-320 (1996)
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[Publications] Yue Han-june & Ushijima H: "Detection and genotyping of astroiness by RT-PCR and sequencing" J.Jap.Assoc.Infect.D_1,S. 70. 840-841 (1996)
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[Publications] Wen L & Ushijima H: "Genetic variation in the VP7 gene of human rotaviras serotype3 isolated in China and Japan" Arch Virol. (in press). (1997)
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[Publications] Akihara S & Ushijima H: "An out break of Norwalk-like virus infection in Tokyo and Saitama in late 1995." J.Jap.Assoc.Infect.Dis. 70. 840-841 (1996)
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[Publications] 上田勇一,牛島廣治: "舞鶴地区における下痢症ウイルスの診断と臨床-特に小型球形ウイルスを中心にして-" 感染症学雑誌. 70. 1092-1097 (1996)