1996 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯高塩および酸性地域の植生改変と環境ストレス抵抗性機構解明
Project/Area Number |
06045004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
臼井 健二 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (80087585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NAーNAKON Mal カセサート大学, 農学部, 助教授
WANGWATTANA チャラムチャイ カセサート大学, 農学部, 特別講師
SURAWATTAHAN スィーソム カセサート大学, 農学部, 講師
CHINAWANG So カセサート大学, 農学部, 助教授
SUWANKETRIKA ランシット カセサート大学, 農学部, 教授
SUWANAMEK Um カセサート大学, 農学部, 準教授
李 度鎮 農業研究センター, 耕地利用部, 主任研究官 (50272159)
沈 利星 筑波大学, 応用生物化学系, 講師 (30272157)
松本 宏 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (10199888)
小林 勝一郎 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (40087606)
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Keywords | 塩類集積土壌 / 耐塩性植物 / 草本性雑草 / 組織培養 / 耐塩性植物の作出 / 耐塩性系統 / 耐塩性機構 / 植生改変 |
Research Abstract |
計画の最終年度である今年度においても広い範囲の塩類集積地域を対象として調査、分類を継続するとともに、収集した雑草の利用可能性の打診、生理生態および耐塩性機構の解析により重点をおいて研究を進めた。 1.Surin地域から新しく耐塩性のvetivarの系統が収集、分類された。Vetivarは本来から耐乾性が認められている多年性植物であり、年間を通した乾期のある塩類化地域での利用可能性が期待されることからその耐塩性機構の解明と組織培養手法を用いより強い系統の作出の材料とした。 2.塩類集積地域から集めた雑草の中で4種類の豆科植物を選び、その耐塩性程度と高塩条件下での根瘤の形成を調べた。Leucaena leucoocephalaで最良の生育と根瘤の形成を示し、次はSesbania rostrataであった。これらの雑草は痩せている塩類集積土壌の改良植物としての利用可能性が確認された。 3.チガヤの耐塩性系統を収集し、その耐塩性機構を塩類の吸収、植物体内での分布を調べ究明した。耐塩性タイプは非耐塩性タイプに比べ、塩の吸収が少なくて吸収した塩を下位葉にNa^+の形で溜めており展開中の新葉に送らないことがわかった。さらに植物体内の浸透圧調節物質などを調べた。 4.植物の塩害機構を明らかにするためにイネを用い、葉緑素の破壊と活性酸素の関与を追跡した。植物に有害な活性酸素を消去する酵素の1種であるスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の誘導がみられ、塩ストレスによる活性酸素の増加が葉緑素の破壊をもたらすと推測した。また。SODの誘導はインド型より日本型で顕著で観察され、活性酸素の有効な消去がイネの耐塩性と決める一つの要因であることを示した。さらに詳しく活性酸素消去系の酵素と物質について検討した。 5.昨年度に引き続き、カセサート大学構内の塩類集積圃場に様々な草本性の植物を植え、土壌などの微細環境の変化を調査した。その結果が蓄積された段階でシムレイションによる植生改変と木本性植物の導入の可能性の検討が期待される。
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Research Products
(1 results)