Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
OKAMURA Melv UCSD, Dept. of Physics, 教授
伊中 浩治 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (30240758)
SAIER Milton UCSD, Dept. of Biology, 教授
宗行 英朗 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (80219865)
MONTAL Mauri UCSD, Dept. of Physics, 教授
福森 義宏 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (60135655)
ALLISON Will Univ. of California, San Diego(UCSD)Dept. o, 教授
|
Research Abstract |
好熱菌のATP合成酵素を,吉田がカリホルニア大学のAllisonの研究室に持参し,光親和性の修飾を行った、途中、2週間ほど大学院生佐藤健が同研究室を訪れて,吉田の実験を補助した.研究の内容および結果は以下のとおりである. 2-アジドATP,2-アジドADPを放射性トリチウムで標識したものを合成し,ATP合成酵素(F1)および,その活性単位であるα_3β_3γ,さらに触媒サブユニットについて,野生型および変異型のものを光親和性標識した.まずATP合成酵素には,酵素の2ケ所に標識が結合した.その片方の結合部位に,2-アジドATPを結合させると,結合した後でADP,AMPまで水解された,2-アジドADPを結合さるとAMPに水解された.したがってこの結合部位は触媒部位である.もう一方の結合部位は非触媒部位である.Mg不在にすると,2-アジドATPは非触媒部位に結合しなくなる.但し2-アジドADPはある程度結合できる.ATP合成酵素の活性化剤である重炭酸イオン,LDAO(界面活性剤)および阻害剤であるアジドイオン,無機リン酸,硝酸ナトリウムなどは,触媒部位,非触媒部位への2-アジドATPの結合に影響を及ぼさなかった.α_3β_3γもほぼ同様の結果であったが,Mg不在の時の2-アジドADPの非触媒部位への結合は微弱であった.β単独の場合は,非触媒部位への結合は見られず,触媒部位に結合したものも,水解されなかった.βの触媒部位の活性基を変異でつぶして,逆にαサブユニットに,触媒基となりうるカルボキシル基を導入したところ,今度は非触媒部位で水解が生じたと考えられる微候があった. 以上要するに,カリホルニア大学の光親和性標識と東工大の種々の酵素複合体を使って,ATP合成酵素の触媒部位と非触媒部位の識別が簡単にできるようになり,多くの新しい知見が得られた.その他,吉田はカリホルニア大学滞在中に,Montalの研究室で講演,討論を行い,交流の実をあげた.
|