1994 Fiscal Year Annual Research Report
プログラム細胞死(アポトーシス)の分子機構と生理的役割に関する研究
Project/Area Number |
06045054
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
田沼 靖一 東京理科大学, 薬学部, 教授 (10142449)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZANETTA Jean ルイ, パスツール大学・神経科学研究所, 教授
|
Keywords | アポトーシス / DNA断片化 / エンドヌクレアーゼ / 胸腺細胞 / 神経細胞死 |
Research Abstract |
アポトーシスは今日、生物学のみならず医学の分野においても最も注目される研究課題となっている。それはアポトーシスの異常に起因する疾患が次第に明らかになり、その病態の解析及び治療薬、治療法の開発にアポトーシスの分子機構の解明が急務となってきているからである。 アポトーシスの顕微な特徴は遺伝子DNAのヌクレオソーム単位での規則正しい断片化である。従って、この反応を司るエンドヌクレアーゼがアポトーシスの分子機構を解明する鍵酵素である。そこで、ラット胸腺細胞を用いアポトーシスを司るエンドヌクレアーゼの同定を試みた。 まず、胸腺細胞の核に存在するエンドヌクレアーゼをCM5PW高速液体クロマトグラフィーで分析したところ三種類あることを見い出し、DNaseα、β、γと命名した。この三分子種を完全精製し、それらの性質を比較検討した。αとβは二価陽イオン非依存性の酸性エンドヌクレアーゼであるが、γはCa^<2+>/Mg^<2+>-依存性の中性エンドヌクレアーゼであった。また、γのみがアポトーシスを起こした細胞核に存在していた。DNAの切断様式を末端標識法で解析した結果、αとβは3′-P/5′-OH型であるのに対して、γは3′-OH/5′-P型であった。これは、細胞レベルでのDNA切断様式が3′-OH/5′-Pであることを考え合わせるとDNaseγがアボトーシスのエンドヌクレアーゼであることを強く示唆する。現在、DNaseγの部分アミノ酸配列を決定し、それに基づいてcDNAのクローニングを行なっている。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Tanuma,S.,et.al.: "Mutiple forms of nuclear deoxyribonuclease in rat thymocytes." Biochem.Biophys.Res.Commun.203. 789-797 (1994)
-
[Publications] Shiokawa,D.,et.al.: "Identification of an endonuclease responsible for apoptosis in rat thymocytes." Eur.J.Biochem.226. 23-30 (1994)
-
[Publications] Aoki,K.,et.al.: "Sodium benzylideneascorbate induce apoptosis in HIV-replicating V1 cells." FEBS Lett.351. 105-108 (1994)
-
[Publications] Makino,K.,et.al.: "Change in Electrophoretic mobility of HL-60 cells by apoptosis." Colloid and Polimer Sci.272. 487-492 (1994)
-
[Publications] Kuribayasi,N.,et.al.: "Introduction of DNA fragmentation in human myelogenous leukemic cell lines by SBA." Anticancer Res.14. 969-976 (1994)
-
[Publications] Kojima,S.,et.al.: "Antioxidative activity of SBA and its adoriamycin-induced cardiac toxicity." Anticancer Res.14. 1875-1880 (1994)
-
[Publications] 田沼靖一: "アポトーシス-細胞の生と死-" 東京大学出版会, 164 (1994)
-
[Publications] 田沼靖一: "アポトーシス 実験プロトコール" 秀潤社, 236 (1994)