Research Abstract |
平成9年度の主要成果として、(1)Fe,Co,Ni基のバルク金属ガラスが生成できることを(Fe,Co,Ni)-(Zr,Hf,Nb,Ta)-B,Fe-(Zr,Nb,Ta)-(Mo,W)-B,Co-Fe-(Zr,Nb,Ta)-B,Ni-Fe-(Zr,Nb,Ta)-B系で見出したこと,(2)これらのバルク金属ガラスが結晶化開始温度(Tx)以下で最大89Kにも達する広い過冷却液体域を出現し,過冷却液体が結晶化に対して高い安定性を有していること,(3)この高い安定性を利用することにより,銅鋳型への溶湯鋳造法により,約6mmの直径までバルク金属ガラスが生成すること,(4)これらのバルク金属ガラスが室温で2800〜3200MPaの高い引張強度,800〜1100の高ビッカース硬さおよび900〜950Kの高い結晶化温度を有すること,(5)ガラス遷移温度(Tg)とTxの間の過冷却液体域では引張伸びが1000%以上の大きな伸びを示すと共に,真応力と真ひずみの関係がひずみ速度10^<-4>〜10^0 s^1の広い範囲において直線関係を示し,その直線の傾きはひずみ速度感受性に対応しており,その値(m値)は約1.0の高い値を示し,理想的な超塑性的粘性流動を示すこと,およびこの超塑性粘性流動性を利用することにより,種々の複新形状材への加工成型を行えること,(6)Fe基バルク金属ガラスが0.8〜1.0Tの飽和磁束密度(Bs),1〜5A/mの低保磁力および1KHzで18000〜27000の高透磁率を示すこと,またこの透磁率の高い値はさらに高周波域まで保持され,10MHzにおいても8000の高い値を示すこと,および(7)同様な高周波透磁率特性がCo基金属ガラスにおいても発現すること,などの多くの新しい知見を見出した。
|