1994 Fiscal Year Annual Research Report
超細密磁場測定及び古地磁気学的手法による被熱遺構探査
Project/Area Number |
06204103
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
森永 速男 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (40210182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 淳 兵庫県教育委員会, 技術職員
久保 弘幸 兵庫県教育委員会, 技術職員
山下 秀樹 京都文化博物館, 学芸員 (80158162)
池谷 元伺 大阪大学, 理学部, 教授 (20023161)
井口 博夫 神戸大学, 理学部, 助手 (40112073)
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Keywords | 被熱遺構 / 磁気探査 / 帯磁率 / 残留磁化 / 火山灰質土壌 / シルト質土壌 / 配石遺構 / たき火実験 |
Research Abstract |
遺跡遺構の被熱痕跡を、簡単かつ迅速に確認する帯磁率測定法の確立をめざしてきた。特に、今年度はシルト(粘土)質土壌の被熱による帯磁率変化と被熱痕跡である帯磁率増加の時間経過に対する安定性について検討した。その目的達成のため、今年度に実施した実験項目は大きく分けて、(1)シルト質土壌面(兵庫県七日市遺跡)でのたき火実験とたき火前後の表面土壌での帯磁率測定、(2)被熱痕跡(赤化)の確認遺跡(新潟県大沢遺跡、縄文時代)での帯磁率測定、(3)実際の遺跡(岡山県恩原遺跡)での磁気による被熱遺構探査、そして(4)配石遺構の被熱痕跡探査法の検討であった。 項目(1)では、シルト質土壌面で約10倍程度の帯磁率増加を確認できた。昨年度実施の火山灰質土壌(愛鷹ローム)面では約1.4〜1.5倍の増加であった。予想通り、シルト質(粘土質も含む)土壌でより大きな、被熱による帯磁率増加が認められた。 項目(2)では、肉眼的に観察される土壌(火山灰質)のみならず、観察されない土壌においても、帯磁率測定により被熱痕跡を確認できることがわかった。ただし、その帯磁率増加率は些少で、火山灰質土壌での適用の難しさが一層確認された。 項目(3)では、帯磁率及び残留磁化強度供に相対的に大きな土壌を発見した。それらの土壌の磁気的性質が被熱によってもたらされたものかどうか他の方法で検討する予定である。 項目(4)では、配石遺構の石材の被熱痕跡の同定法及び痕跡ありの場合に被熱温度を推定する方法を実際の被熱(たき火)を通して検討した。石材が被熱すると新たな熱残留磁化を獲得することを利用して、残留磁化方位と強度から被熱痕跡及び被熱温度が推定できることがわかった。
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