1994 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児の音声コミュニケーションにおけるプロソディとジェスチャーの機能に関する研究
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06205102
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
志村 洋子 埼玉大学, 教育学部, 助教授 (60134326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 こずゑ 國學院大学, 文学部, 教授 (70146736)
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Keywords | 乳・幼児 / 音声 / コミュニケーション / プロソディ / ジェスチャー / 子ども向け発話 / オノマトペ / 話者認識 |
Research Abstract |
平成6年度は、言語獲得期の子どもに対する成長児や大人の言葉かけ(CHILD-DIRECTED-SPEECH,MOTHERESE)等、言語環境に関しての継続観察から 1)母児間相互交渉場面のオノマトペ使用に視点を当てた検証を行い、さらに 2)言語獲得期の幼児を対象とした音声に関する個人性の識別についての実験を行った。 その結果、まず1)に関しては、幼児の月齢の違いによる母親のオノマトペ出現率については明瞭な傾向はみられなかったものの、1〜2歳代に比べ3歳代の母親の発話に擬態類オノマトペの出現傾向が多かった。また、母親による個人差はみられたものの、使用されるオノマトペの品詞の割合は名詞形が最もおおく、次いで動詞形であった。さらに、幼児の発話中のオノマトペ出現率は低いものの、母親のオノマトペに対する模倣は高い頻度で出現した。2)に関しては、幼児の話者認識の程度に年齢差はあるか、幼児同志の社会的関係が話者認識の程度に影響するか、幼児の発話音声の音響的特性の違いが話者認識の程度に影響するか、の3点について検討した。その結果、話者識別率は加齢と共に上昇し、5歳児では成人の結果と同程度になること、限定的ではあるものの社会的関係は認識の程度に影響することがわかった。また、音声の音響的特徴としては、基本周波数FOが高くかつレンジが大きい、音声長の短い音声が識別され易い傾向がみられた。 以上の分析結果から、母親の発話には幼児の年齢変化に伴ったオノマトぺの変容が示唆された。また、幼児の話者認識には加齢による識別能力に増加がみられるものの、各年齢で利用される要因が必ずしも同じとは限らず、話者が既知未知か等の要因、また音響的諸特性などの多様な要因が影響している過程であることがわかった。今後はさらにジェスチャーの解析を加え、音声コミュニケーションの発達過程を明確にして行きたい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 志村洋子、今泉 敏: "Infant's Expression and Perception of Emotion through Vocalizations." Intrnational Conference on Spoken Language Processing. Proccding. Vol.4. 1703-1706 (1994)
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[Publications] 志村洋子、今泉 敏: "初期乳児期の音声における感性情報" 信学技報. HC94-38. 9-16 (1994)
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[Publications] 志村洋子、今泉 敏: "乳児音声における 感性情報表出の発達と個人差の検討" 音声言語医学. Vol.35 NO.2. 207-212 (1994)
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[Publications] 志村洋子、今泉 敏: "乳児音声の感性情報認知における聴取者・状況依存性" 音声言語医学. Vol.34 No4. 417-424 (1993)
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[Publications] 斉藤こずゑ: "子供の眼・実践者の眼・研究者の眼" 発達. NO.58. 7-12 (1994)
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[Publications] 斉藤こずゑ: "国際化時代の子どもたち" 国土社, (1995)