1994 Fiscal Year Annual Research Report
言語化・イメージ化が非言語的材料の記憶に及ぼす影響
Project/Area Number |
06205212
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
伊東 裕司 慶應義塾大学, 文学部, 助教授 (70151545)
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Keywords | 顔の記憶 / 言語記述 / 非言語的記憶表象 / 言語的記憶表象 / 偶発学習 |
Research Abstract |
unfamiliar faceの再認の前にその対象を想起し言語記述することの影響について、先行研究や昨年度おこなった実験では,再認成績を向上させる,低下させる,影響を与えない,という異なった結果が得られている.本研究では,言語記述が再認成績を向上させる条件とメカニズムについて,2つの実験から検討する. 実験1では,記憶表象が鮮明な場合には言語記述は再認を妨害し,不鮮明な場合には再認を助ける,という仮説を検討した.被験者はまず,ターゲットの人物が登場するビデオを,100秒間(長提示条件)あるいは30秒間(短提示条件)見る(偶発学習).2週間後に,ターゲットの顔の言語記述,視覚化,無関連作業のいずれかに従事(5分間)したのち,16人の顔写真を提示され,再認判断(1枚選択)および確信度の評定を行った.そこ結果,長提示条件では再認前の作業の効果は見られなかったが,短提示条件では言語化群は統制群に比べ再認成績がよく,先の仮説は支持された. 実験2では,言語記述の再認の促進は妨害刺激との接触による妨害効果を受けにくくすることによるという仮説を検討した.そうであれば,再認刺激を継時提示した場合,ターゲットの提示位置が初頭部である場合より終末部である場合に大きな言語記述の促進効果が観察されよう.実験2は実験1の短提示条件とほぼ同じ手続で行われたが,再認刺激を継時提示し,1刺激ごとに再認反応を求めた.その結果,ターゲットの提示位置にかかわらず,再認前の作業の影響は見られなかった.言語記述による妨害刺激の影響の現象という仮説は支持されず,言語記述による効果の持続時間や,再認刺激を継時提示した際の再認過程の検討などの必要性が示された.
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