1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06206104
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福井 捷朗 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (10027584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 忠孝 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (30107510)
中野 和敬 鹿児島大学, 南太平洋海域研究センター, 教授 (70155779)
大塚 柳太郎 東京大学, 医学部, 教授 (60010071)
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Keywords | 人口 / 食糧 / 東南アジア / オセアニア |
Research Abstract |
前年度に引き続き、小人口集団の人口-食糧バランスを対象とした調査例を収集、検討した。その結果、以下の諸点が明らかになった。 1.近似的にでも自給経済が想定できる場合には、生物学的人口扶養力(carrying capacity)がパラダイムとして有効であるが、市場経済化によって、その意味が薄れる。人口-食糧-経済構造の3者を論ずる枠組みが必要である。 2.資源枯渇→焼畑休閑期間の短縮、耕作機関の延長→土地の劣化→生産力低下の悪循環が状態としてみられるが、資源枯渇の原因が人口増加にあることが確認できる例は少なく、ほとんどが商品作物導入その他のいわゆる近代化の影響を受けている。 3.土地、労働の最適配分によって食糧/人口バランスを保持する機能がコミュテニテイー全体によって担われていることは少なく、近親互助など親族関係がその機能を果たしていることが多い。しかし、このような親族組織の機能自体は、コミュニテイー全体の「文化」に包含されている。 4.小人口集団において、食糧-栄養-人口が因果関係にあることをはっきり実証できる事例は少ない。むしろ、社会・経済全体の変化、集団固有の文化などの影響の強さが認められる。 人口と食糧のバランスは、維持できないと社会的影響が大きい。また、少なくともマクロのレベル、あるいは概念的には、両者間の相互作用は、しばしば自明であるかのように考えられている。しかし、小人口集団においては自明ではなく、生物学的モデルのアナロジーを安易に適用することは禁物である。
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Research Products
(1 results)