1994 Fiscal Year Annual Research Report
環東シナ海貿易圏における琉球・対馬・朝鮮間交流史の研究
Project/Area Number |
06208208
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
西村 圭子 日本女子大学, 文学部, 教授 (80060622)
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Keywords | 対馬 / 長崎 / 琉球 / 貿易 / 以酊庵 / 京都五山 / 対外交渉史 / 日朝交流史 |
Research Abstract |
1.研究の概要(1)環東シナ海経済圏における琉球-薩摩、対馬-朝鮮両地域間の交流は、かつて中世に勘合貿易体制を担った博多・堺商人によってそれぞれ琉球・対馬との交渉が行われ、流通圏として結合されていた。近世においても、朝鮮側の輸入品の性格は変わらず、とくに儀礼的な封進には胡椒、蘇木、明礬、銅盤等、また公貿易には銅、錫、蘇木、水牛角等の琉球貿易品が求められた。私貿易は、銀、錫、銅等を輸出し、生糸、人参、薬品等東アジア全域にかかわる物産をもたらした。(2)対馬藩は、長崎に長崎聞役をおき、長崎奉行所はじめ長崎会所との交渉を行い、唐・和蘭人らと交流をもった。なお実務面は、対馬藩の特権商人群に依存し、なかでも長崎商人としての地位を兼帯した商人が、通常の取引に参加し輸出用の南海物産を調達して対馬に回送した。(3)対馬-朝鮮貿易で銀の輸出は、朝鮮から中国への朝貢使の出発に合わせて行われ、年の後半から皇暦銀、冬至銀と称して中国にもたらされ、北京において生糸を中心とした回賜品が与えられ、逆ルートで対馬に入った。輸出銀は、薬用人参の輸入代価の名分により、京の銀座において灰吹銀から人参代往古銀として鋳造された。京の対馬藩邸でこの丁銀の収集と生糸・絹織物販売の取引が行われ、生糸や絹織物問屋から先納銀供与等の資本的連携が形成される。銅については、大阪の対馬屋敷で大阪銅吹屋資本に依存して直接調達され、これら対馬-京畿問屋間の流通取引の結合は、長崎ルートとは別に、実務的には対馬商人によって行われた。2.データベースの作成(1)対馬商人の長崎市場での動向及び京畿地域に至る流通過程を中心に、目録データを作成している。(2)対馬の国家貿易的特性から幕府の観察が強化されるため、以酊庵輪番駐在の京都五山禅僧の外交僧としての記録等に注目し、目録データを作成している。
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Research Products
(1 results)