1994 Fiscal Year Annual Research Report
血管構築弾性素材の自己集合組織化と弾性機能:正常および老化モデルによる解析
Project/Area Number |
06213103
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡元 孝二 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (40122618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 祐子 九州工業大学, 情報工学部, 助手 (80203488)
近藤 道男 佐賀大学, 理工学部, 教授 (30039250)
甲斐原 梢 九州大学, 理学部, 助手 (90080564)
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Keywords | 血管構築素材 / エラスチン / 自己集合組織化 / 弾性機能 / 老化 |
Research Abstract |
血管の主要な構築素材であるエラスチンの弾性発現の分子機造は、細胞外空間での分子内及び分子間疎水的相互作用に基づく自己集合によって形成され、その自己集合過程は逆温度依存性コアセルベーションとして試験管内で再現可能である。正常エラスチンを模したモデルペプチド[エラスチンの弾性発現を担うポリペンタペプチド(Gly-Val-Gly-Val-Pro)n (以下正常モデルペプチド)]のコアセルベーション曲線はpHの影響を受けないのに対して、NaCl溶液中ではコセルベーション開始温度が低温側に移行した。この塩効果は正常モデルペプチド架橋重合体の弾性変化とも対応し、弾性はNaCl溶液中では発現するが、純水中では消失することが示された。一方老化エラスチンを模したモデルペプチド[上記のポリペンタペプチドにGlu又はLysを約4%導入したポリペプチド(以下老化モデルペプチド)]は酸性側、塩基性側の等電点でコセルベーション開始温度が低温側に移行し、その架橋重合体の弾性も酸性側、塩基性側の等電点で発現され、生理的pHでは低下することが示され、老化に伴う自己集合及び弾性の異常性が示唆された。正常モデルペプチドの石灰化能について検討すると、このモデルペプチドは石灰化を受け易いペプチド配列であり、そして石灰化を受けると弾性を失うことが示された。このモデルペプチド上の石灰化部位を^<13>C-NMRを用いて調べると、Ca^<2+>はペプチド骨格カルボニル-CONH-酸素に結合するとが明らかになった。さらに正常モデルペプチド及び老化モデルペプチドと酸化LDL(老化の要因である過酸化脂質を多量に含む)との結合を検討すると、正常よりも老化のモデルペプチドに多量に結合することが示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 杉尾正則: "Cocervation properties of chemically modified elastin peptides as new functionality biomaterials" Peptide Chemistry 1994. (印刷中). (1995)
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[Publications] 近藤道男: "Hydrogen-bond detection in peptides by ^1H-Nuclear magnetic resonance through a hydrogen-chloride exchange reaction" Bull.Chem.Soc.Jpn. 67. 1064-1068 (1994)
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[Publications] 岡元孝二: "Role of copper ion on self-assembly of elastin peptides" Peptide Chemistry 1993. 297-300 (1994)
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[Publications] 神里早月: "Effect of elastin peptides on marcophage activation and chemotaxis" Peptide Chemistry 1993. 273-276 (1994)
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[Publications] 岡元孝二: "血管壁代謝:細胞外マトリックス" 現代医療. 26. 183-188 (1994)
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[Publications] 岡元孝二: "新タンパク質応用工学(籏野昌弘監修)" フジ・テクノシステム(印刷中), (1995)