1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06213215
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高久田 和夫 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助教授 (70108223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮入 裕夫 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 教授 (50013892)
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Keywords | 生体力学 / 線維組織 / 培養線維芽細胞 / 力学的環境 / 機能的適応 |
Research Abstract |
初代線維芽細胞をコラーゲンゲル内で培養し,種々の力学的環境のもとでの細胞の挙動を顕微鏡用VTR装置にて観察した.細胞による引張応力の発現,細胞による力学的環境の認識,そして細胞による自己組織化の過程について検討した結果,以下のことが明らかとなった. 1.線維芽細胞による引張応力の発現 試験片中に培養細胞が引張応力を発現していることが確認された.細胞がゲル中のコラーゲン線維に接着すると,接着部の間でストレスファイバーが発達し収縮力を発現し,コラーゲン線維が緊張して細胞はコラーゲン線維の配向に沿って伸長した形態をとってコラーゲン線維に引張応力を生じるものと考えられた. 2.線維芽細胞による引張応力場の認識 培養細胞が引張応力方向を認識することが観察された.引張応力に沿ったコラーゲン線維には緊張が生じ平行な線維はゆるんでいるが,細胞は緊張した線維とゆるんだ線維の差異を認識し,緊張した線維に沿って伸長した形態を取るようである. 3.細胞集団の自己組織化 本実験では,細胞集団が力学的環境に適応した形態を自己組織化により創出することが確認された.これは,次のようなフィードバック機構によるものと考えられた.(1)細胞の伸張方向への引張応力の発現,(2)引張応力により緊張したコラーゲン線維の出現,(3)緊張したコラーゲン線維に沿って細胞の伸張,(4)(1)へ戻る.このような機構は力学的なメカニズムによって情報伝達が行われる力学的オートクリン機構とも言えるものであり,細胞集団内で現象が増幅されることによって集団として知的な挙動が実現されていると考えられる.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 高久田和夫: "細胞の自己組織化と力学的環境" 日本機械学会誌. 97. 78 (1994)
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[Publications] 高久田和夫: "機械材料による生体組織の再建" 機械の研究. 46. 601-607 (1994)
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[Publications] 高久田和夫: "機能刺激による培養線維芽細胞の自己組織化" 顎顔面バイオメカニクス. 2. 35-37 (1994)