1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06213222
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 憲隆 大阪大学, 基礎工学部, 講師 (40210546)
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Keywords | バイオメカニクス / 生体軟組織 / 力学的性質 / コラーゲン線維束 / 膝蓋腱 / 家兎 / 引張試験 / 引張強度 |
Research Abstract |
腱や靱帯は階層構造をとっており,コラーベン線維束,コラーゲン線維の順に微細となり,最終的にトロポコラーゲンと呼ばれるコラーゲン分子にいたる.このため,腱や靱帯などの軟組織の力学的性質を把握するには,その構成要素であるこれらコラーゲン線維束の力学的性質を詳細に調べる必要がある.そこで,ウサギの膝蓋腱を摘出し,メスの刃を線維に沿うように動かしてコラーゲン線維に傷が入らないように注意しながら線維束を取り出し,新たに設計したマイクロ引張試験装置に取り付け,37℃の生理食塩水中で引張試験を行った.得られた線維束の力学的性質と膝蓋腱全体の力学的性質とを比較・検討した. 膝蓋腱の各部位から摘出した線維束の力学的性質に有意な変化は現れなかった.膝蓋腱全体と線維束の力学的性質を比較すると,線維束の引張強度は膝蓋腱全体の約1/3,弾性係数は約1/7,破断ひずみは約2倍であった.断面積計測法の相違の影響を除外しても,力学的性質は膝蓋腱全大体と線維束との間で異なる結果が得られた.ひずみ速度の増大により引張強度と弾性係数は有意に増大したが,破断伸びは変化しなかった.ひずみ速度が0.01%/Sから1%/Sに増大すると,引張強度で36%,破断伸びでは35%の増加がみられた.試験装置の性能に限界があり,膝蓋腱全体と線維束で同様なひずみ速度で引張試験を行うことができなかったので,単純に比較はできないが,両者の間でひずみ速度による力学的性質の変化に相違が現れた. 以上の結果から,膝蓋腱全体と線維束では力学的性質がかなり異なることが明らかになった.
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[Publications] 山本衛,他: "コラーゲン線維束の力学試験装置の開発と応力-ひずみ関係" 日本機械学会関西支部第69期定時総会講演会講演論文集. 34-36 (1994)
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[Publications] 山本衛,他: "家兎膝蓋腱より摘出したコラーゲン線維束の引張特性" 日本機械学会第72期全国大会講演論文集. 61-63 (1994)