1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06215212
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅野 幹宏 東京大学, 工学部, 教授 (60011128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 浩 東京大学, 大学院・工学系研究科博士過程, 大学院生日本学術振興
伊藤 吾朗 東京大学, 工学部, 助手 (80158758)
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Keywords | 水素 / 金属間化合物 / 不純物水素 / 環境脆化 / 延性 / 破壊 / ボイド |
Research Abstract |
Ni_3Al基金属間化合物について、環境脆化機構の解明とともに材料製造過程で含まれる内在不純物水素の影響の有無の解明を目的として研究を行った。Ni-23.4mol%Alおよびこれに0.07mol%のほう素(B)を添加した合金を約10^<-3>Paの真空中およびアルゴン(Ar)中で溶解・金型鋳造し、均質化・恒温鍛造した後、施削により丸棒引張試験片とし、真空溶解材について真空中で、Ar溶解材についてはAr中で、それぞれ430℃,15hの焼鈍を施した(以下それぞれ真空処理材、Ar処理材と呼ぶ)。その後各試料を超高真空中で再び430℃で加熱し、その時の水素分圧を質量分析計で連続的に測定することにより、バルク中の水素量を間接的に見積もった結果、真空処理材のほうが内在水素量が少ないことが確かめられた。 このように内在水素量の異なる各試料について、おもに約10^<-8>Paの真空中で引張試験を行った結果、B添加合金も無添加合金も内在水素量が少ない真空処理材のほうが高延性となることが分かった。B添加合金について変形・破断に伴う水素分圧の変化を、研究代表者が1992年に開発した質量分析計を備えた超高真空材料試験機を用いて、荷重-変位曲線とともに検討した結果、真空処理材もAr処理材も破断時に水素の放出が見られたが、その放出量はAr処理材のほうが多くなった。この時の破面は、いずれの試料もディンプル形成型の延性破面であった。以上の結果からB添加のNi_3Alにおいては、内在不純物水素は、変形中に材料内を移動しボイドの生成・成長を促進する(ボイド内に水素ガスを形成)ことにより、延性を低下させていると考えられた。またB無添加のAr処理材を10^<-3>Paの真空中で試験した結果、上記超高真空中での試験の場合に比べて延性が低下した。したがって環境中のガス不純物(おそらく水蒸気)は10^<-3>Pa程度の低圧力であっても、脆化をもたらすことが明らかになった。
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