1994 Fiscal Year Annual Research Report
磁性有機分子結晶の電子状態、スピンのゆらぎおよび磁性に関する研究
Project/Area Number |
06218218
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 直 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (40029559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 和子 岡山理科大学, 理学部, 教授 (90029413)
白井 正文 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (70221306)
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Keywords | 拡張ハバ-ド・モデル / 磁気相図 / 強磁気発現条件 / FLAPW法 / 遍歴強磁性 / スピン偏極電子帯構造 / H_2NO |
Research Abstract |
1.拡張されたハバ-ドモデルに基づく磁気相図 (1)1個の軌道をもつ異なる分子が単位胞に2個含まれる、および(2)2個の軌道をもつ分子が単位胞に1個含まれる、2つの場合について金属強磁性発現の条件を調べた: (1)fillingが1/4の場合、異なる分子の軌道エネルギーに差がありかつ1次元性が強いとにはフェリ磁性相が現れ得る. (2)fillingが1/4の場合、同じ種類の軌道間の飛び移りより異なる軌道間の飛び移りが大きいときには強磁性相が現れ得る. 2.H_2NO結晶の非磁性電子帯構造の第1原理的計算 (1)H_2NOが同じ向きに並んだ1次元鎖および(2)H_2NOが交互に逆向きに並んだ1次元鎖が正方格子を形成する2つの仮想結晶に対してフルポテンシャルLAPW法によるバンド計算を行い以下の結果を得た: (1)NとOの反結合軌道が1次元性の強いバンドを形成し、フェルミレベルはこのバンドの中央、谷のところに位置する。従って、磁性が現れる場合には反強磁性である. (2)(1)に比較して1次元性が弱まりかつバンドの縮退が増加したためにフェルミレベルでの状態密度がかなり大きくなり、この場合には強磁性状態が現れ得る可能性がある. 3.H_2NO結晶の強磁性電子帯構造の第1原理的計算 2の(2)の場合について、強磁性状態における電子帯構造の計算を行い、全エネルギーと磁気モーメントを求めた.その結果、強磁性状態が確かにセルフコンシステントな解として求まり、分子1個当たり、約0.8から0.9μ_Bの磁気モーメントをもつことが明らかとなった.結晶が仮想的でありかつ分子間距離もあまり現実的でないところでの計算ではあるが、純粋な有機分子系でも金属強磁性状態が可能であり得ることを示した点で非常に有意義な結果である.
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[Publications] N.Suzuki: "First-Principles Band Structure Calculation for Organic Molecular Crystals" Mol.Cryst.Liq.Cryst.(in press). (1995)
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[Publications] T.Kawamoto: "Theoretical Study on Prssibility of Organic Mtsllic Ferromagnetism" Synthetic Metals. (in press). (1995)
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[Publications] H.Maeshima: "Spin Polarized Band Structure of Cu_3Au-Type Comptouds MPt_7(M=V,Cr,Mn,Fe,Co)" J.Mag.&Mag.Mater. (in press). (1995)
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[Publications] H.Ikeda: "Electronic Band Structure and Magnetic and Optical Property of Fe_7Se_8 and Co_7Se_8"
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[Publications] Y.Hirano: "Spin Waves in Mn_3Pt" J.Mag.&Mag.Mater.(in press). (1995)
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[Publications] T.Kawamoto: "Dipole-Dipole Interaction and Field-Induced Phase transition in Molecular Antiferromagnet MOTMP" J.Phys.Soc.Jpn.63. 3158-3162 (1994)