1994 Fiscal Year Annual Research Report
核酸と蛋白質の特異的認識反応に関する量子化学および分子動力学による研究
Project/Area Number |
06219228
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
相田 美砂子 国立がんセンター, 生物物理学, 研究員 (90175159)
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Keywords | 非経験的分子軌道法 / 分子動力学 / 量子化学 / 核酸 / 蛋白質 / 糖 / 水素結合 / 水和 |
Research Abstract |
生体高分子間の特異的認識作用は、水素結合やイオン結合によって担われている。生体高分子間の認識反応をシミュレートする際には、用いるポテンシャルがこのような水素結合による系の安定化を表現できることがまず第一に重要である。そこで、これまでに生体高分子の構成分子間の非経験的分子軌道法による量子化学計算だけに基づいて導出したab initio potentialが、蛋白質の荷電側鎖間の相互作用をどの程度良く表現できるのかについての検討をおこなった。その結果、非経験的分子軌道法によって得られる相互作用の距離依存性や角度依存性をかなり良く再現することが分かった。すなわち、ab initio potentialによる計算は、蛋白質の荷電側鎖間の構造を良く表現することができる。非経験的分子軌道法計算を生体高分子の相互作用系の動的な性質を得るためにそのまま適用することは計算時間が非常にかかりすぎるために事実上できないが、その代わりにこのab initio potentialを用いて系の動的な性質の解析を信頼できる精度ででることを、本研究の結果は示している。 生体においては、多くの場合、生体高分子は水分子の存在を無視した状態では存在しえない。水溶液中における生体高分子の構造を知ることが、生体における分子間の特異的相互作用を理解する上で重要である。水溶液中における糖の高次構造を求めるために、ab initio potentialを用いて水分子を顕に考慮した分子動力学法による計算を適用した。その結果、水分子が糖と直接水素結合を形成し、そのために、水溶液中における糖の高次構造やその変化のしやすさが真空中とは大きく異なることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Aida: "Theoretical studies on specific interacrions between biological molecules:Interaction of cationic arginine with anionic glutamic acid" Journal of Molecular Structure(Theochem). 311. 45-53 (1994)
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[Publications] M.Aida,M.Kaneko and M.Dupuis: "An ab initio MO study on thymine dimer and its radical cation" International Journal of Quantum Chemistry. (in press).
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[Publications] M.Aida,Y.Sugawara,S.Oikawa and K.Umemoto: "Structural fluctuation of methyl N,N′-diacetyl-β-D-chitobioside in Vacuo and in aqueous solution:Molecular dynamics simulations and proton NMR spectroscopy" International Journal of Biological Macromolecules. (in press).