1994 Fiscal Year Annual Research Report
チャーン・サイモン・ゲージ理論に於ける位相励起と可積分系
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06221204
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
江沢 潤一 東北大学, 理学部, 助教授 (90133925)
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Keywords | チャーン・サイモン場 / 位相的ソリトン / 平面電子系 / 量子ホール状態 / ジョセフソン効果 / 戸田方程式 / サイン・ゴ-ドン方程式 |
Research Abstract |
2次元空間では3次元空間には起こり得ない現象が存在する。これは2次元空間の位相的性質の特殊性に起因する。著しい特徴として、粒子に固有の統計的性質が存在しないため、フェルミオンも単独で凝縮可能だし分数統計を持つ粒子も存在できる。具体的には、量子ホール状態はその様な単独電子の凝縮状態であり、その準粒子は位相的励起としての分数統計粒子である。この様な系を記述するにはチャーン・サイモン(CS)理論を用いるのが最も有効である。事実、平面電子系は電子をボソンと統計磁場の結合粒子系と見なすことでCS理論になる。この事実は量子ホール状態の物理を研究する事でCS理論の位相的構造の研究とその結論の「実験」を行える事を意味する。 CS理論を2層量子ホール状態に応用する事により、2層間に今まで知られていなかった新しい量子位相が自発的に発生する事を我々は発見している。この量子位相現象は超伝導ジョセフソン接合に現われる現象と類似している。但し、定電圧回路での電磁波の振動数は超伝導ジョセフソン効果でのそれの半分である。この事は、物理学の側面から見ると、単独電子の凝縮を証拠立てる基礎的知見として極めて重要である。 数学的側面としては、この系の位相的励起を記述する方程式としてある種の双対方程式を得た。これはリウヴィーユ方程式を拡張したものと等価である。一方、量子論的には2層量子ホール系の基底状態は厳密に解けておりハルペリンの波動関数で与えられる。この波動関数と拡張したリウヴィーユ方程式の可解性との関係を調べた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Z.F.Ezawa: "Josephson Phenomena and Quantum Ferromagnetism in Donble-Layer Quantum Hall Systems" Physical Review B. (印刷中). (1995)
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[Publications] Z.F.Ezawa: "Quantum Coherext Phenomena in Bilayer Quantum Hall Systems" Japanese Journel of Applied Physics. (印刷中). (1995)