1994 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー分散型X線回折法による珪酸塩融体の構造解析
Project/Area Number |
06222202
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
早稲田 嘉夫 東北大学, 素材工学研究所, 教授 (00006058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 和正 東北大学, 素材工学研究所, 助手 (40196762)
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Keywords | high temperature / liguid / X-ray diffraction / energy dispersive / silicate / radial distribution function |
Research Abstract |
半導体検出器(SSD)を用いたエネルギー分散型X線回折(EDXD)法は、高温および高圧などの特殊条件下における構造解析の有力な手段の一つである。例えば、20〜40keVの白色X線を用いて強度測定を行なえば、回折角70°でも200nm^<-1>越える波数ベクトル領域(Q=4πEsinθ/1.24(nm^<-1>)、2θ(°)=回折角、E(keV)=X線のエネルギー)の情報に基づいた解析が可能となり、解析精度が大幅に増大する。 本研究は、高温融体の高分解能動径分布関数を得る目的のため、融体用エネルギー分散型X線回折法解析システムを開発し、水銀(Hg)、ニオブ酸リチウム(LiNbO_3)、曹長石(NaAlSi_3O_8)融体などの構造解析を行なった。Ptセル中で溶融したLiNbO_3融体(1280℃)の解析結果では、波数ベクトルの大きな領域までフーリエ変換した動径分布関数は、最近接Nb-O原子相関に対応する約0.2nmのピークをはじめとして0.3〜0.5nm付近の原子相関の分解能に優れ、EDXD法が高分解能の動径分布関数を得るために効果的な手段であることが判明した。融体の最近接Nb-0原子相関にLiNbO_3結晶と同様な2種類の相関距離(約0.19nmおよび0.21nm)が存在することは、融体中のNbO_6局所構造要素が結晶に極めて類似した立体構造を構成していることを強く示唆していると考えられる。 このように、高分解能動径分布解析は、融体構造中の基本構造単位である局所構造のみならず局所構造の立体的構成に関する議論を可能にすることが判明した。
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