1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06222208
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武尾 実 東京大学, 地震研究所, 助教授 (00197279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇平 幸一 気象庁, 気象研究所, 主任研究官
金嶋 總 東京大学, 理学系研究科, 助手 (80202018)
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Keywords | 低周波地震 / 火山性地震 |
Research Abstract |
浅間山火山観測所及び軽井沢測候所に広帯域地震計を設置して観測を開始した.しかし,火山体の外側の観測網のデータは,1994年6月には整備される予定であった東京大学地震研究所の観測網の広帯域化が遅れて,広帯域波形データがが活用できるのは1995年2月以降のものとなったため,浅間山火山の深部構造の解明については,今後も観測を継続して火山体内外の広帯域波計を収集し解析を行う. 火山帯の地殻深部で観測される低周波地震のメカニズムの解析については,具体的成果が上がった.日本列島内陸の地震はほとんど全て地殻浅部の深さ20km以浅で発生していることが確かめられてきた.しかし,例外的であるが,火山帯付近では深さ約30km以深の地殻内に発生する地震が観測されることがある.これらの地震は地殻浅部の地震に比べ低周波が卓越し低周波地震と呼ばれているが,発生頻度が低く観測例も少ない.ここでは,栃木県西部の低周波地震の地震波形を解析して,メカニズムを解明した.その結果,メカニズムは4象源型が卓越したものとなっているが,これは各観測点での大きな直達S波を説明する上で不可欠なものであろう.メカニズム解に含まれる等方成分については,高々全体のモーメントの約3割以下と考えられる.メカニズムのP軸の方向は,この地域の地殻浅部の発生する地震のメカニズムが示すP軸の方向とほぼ一致しており,この地域に働くテクトニックな応力場が地殻浅部にも及んでいることを示唆する.地殻深部はレオロジー的にみて地震が発生しにくい領域と考えられ,事実火山フロント付近以外では地殻深部で発生する地震は確認されいない.低周波地震の発生に何らかの形で火山活動が関連していることは間違いないと推察されるが,単純なマグマ上昇や貫入モデルでは説明することは出来ず,テクトニックな応力場と火山活動との相互作用を考慮に入れる必要がある.
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