1994 Fiscal Year Annual Research Report
ファンデアワールス・エピタキシ-法によるフラーレン超薄膜の作製とのその物性の解明
Project/Area Number |
06224206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小間 篤 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (00010950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 敏宏 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (10262148)
上野 啓司 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (40223482)
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Keywords | フラーレン / エピタキシャル薄膜 / ファンデルワールスエピタキシ- / 結晶成長 / 原子間力顕微鏡 / 二次元核形成 / 臨界核 / デンドライト構造 |
Research Abstract |
フラーレンの発見と、その精製、分離技術の確立は、物質科学に大きなインパクトを与えつつある。2種以上のフラーレン超薄膜を交互に積層成長させたり、フラーレン超薄膜とドーパント層を設計通りに積層させることが可能なヘテロエピタキシャル膜作製手法の確立は、新しいフラーレン物性を系統的に探索する上で特に期待されるものである。本研究では、格子不整合系のエピタキシャル成長に特に有効な手法として我々が開発してきたファンデルワールス・エピタキシ-法を駆使して、良質のフラーレン超薄膜のエピタキシャル成長手法の確立を図るため、その成長機構の解明を目指した。 MoS_2に代表される遷移金属ダイカルコゲナイド上へのフラレン成長機構について、成長中における電子線回折(RHEED)による観察、および成長後の薄膜形態の原子間力顕微鏡(AFM)観察によって詳細な検討をおこなった。その結果、C_<60>は通常の条件下(基板温度、室温〜150℃、成長速度〜1Å/分)において、二次元核形成により成長し、各層は層状成長することが明らかになった。成長形態は一層目と二層目以降で大きく異なり、一層目は六回対称のデンドライト構造でそのドメインサイズは最大40μに達する。これに対し、二層目以降は三角形状でそのサイズは数μ程度である。 一層目の核形成に関する知見を得るために、さらに基板温度および成長速度をパラメータとして核密度数の詳細な検討をおこなった。完全凝集モデルによれば、安定核密度は成長速度、基板温度および臨界核の大きさの関数で表される。このモデルから計算される臨界核の大きさ(原子数)は100℃において約4、210℃において20〜30以上であった。また基板上の拡散距離は40μ以上となる。これらの値の評価はフラレン系だけでなく広く有機物質系でも初めてであり、今後のエピタキシャル成長膜の設計に有用な指針を与えるものである。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Sakurai,A.Koma: "Growth and characterization of epitaxial C_<60> and C_<70> films" Trans.Mat.Res.Soc.Jpn.14B. 1145-1148 (1994)
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[Publications] K.Uchida et al.: "Magneto-optical measurement of C_<60> epitaxial films under pulsed high…" Physica. B201. 431-434 (1994)
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[Publications] Y.Fujikawa et al.: "High-Resolution Electron Energy Loss Spectroscopy on C_<60> and C_<70>" Japanese Journal of Applied Physics. 34. L188-L190 (1995)
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[Publications] K.Ueno et al.: "Van der Waals epitaxy on hydrogen-terminated Si(111) surfaces and investigation of its growth mechanism" Journal of Crystal Growth. (印刷中). (1995)