1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06224230
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
鈴木 敏泰 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (60260030)
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Keywords | 炭素クラスター / フラーレン / 有機合成化学 |
Research Abstract |
平成6年度において、Sc2@C84、La@C82の異性体、La2@C80、Y@C82、およびGd@C82の金属内包フラーレンの電気化学的性質を調べ、酸化還元電位が金属の種類と数よってどう変化するか調べた。La@C82、Y@C82、およびGd@C82の酸化還元電位を比べると、それぞれ金属による違いがほとんどないことがわかった。そして、これらの実験結果は、永瀬らによるイオン化ポテンシャルと電気親和度の理論計算とよく一致する。 金属フラーレンの有機化学的な反応性は、からのフラーレンのそれとの関連で興味深く、機能性分子への応用に役立つものと考える。今回、La@C82と過剰のジフェニルジアゾメタンとの反応をESRを使い調べた。この反応は室温では非常に遅く、C60との違いを際だたせている。ESRでは、原料のほかにカップリング定数がほぼ同じでg値がわずかにずれた新たなピークが現れた。これは、おそらく一付加体に由来するもので、その電子状態がLa@C82のそれとあまり変わっていないことを意味すると思われる。温度を60度まで上げると反応がすばやく進行し、質量分析で4付加体まで生成していることがわかった。現在のところ、出発原料が1mg以下であるので、生成物を単離するところまでは至っていない。
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