1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06225208
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西郷 和彦 東京大学, 工学部, 教授 (80016154)
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Keywords | 光学活性体 / 光学分割 / 不斉合成 / [2,3]-Wittig / オキサゾリン |
Research Abstract |
人工光学活性化合物はその構造選択の自由度も大きく,また,2つのエナンチオマーが容易に得られる点など,多くの利点を有する化合物である。しかしながら,これまで光学分割により得られた不斉源としてはビナフチル系の化合物など少数の例が知られているのみであり,その合成化学的検討は十分になされているとはいえない。この様な観点から,新規合成不斉助剤の創製,およびそれらの不斉合成への応用について検討を行なった。先に我々は,エリトロー2-アミノ-1,2-ジフェニルエタノールの光学分割,および不斉合成への応用を検討し,これが優れた人工不斉助剤となることを見いだした。この2つのフェニル基を縮合させ,方向を固定化すればより有効な不斉助剤が得られると考え,cis-2-アミノ-1-アセナフテノールを設計し,新たに立体選択的合成法の検討を行った。その結果,Sharplessらのcis-ヒドロキシアミノ化の手法により,アセナフチレンより2段階で簡便に合成可能であることを見いだした。光学分割に関しては,そのBoc体を(S)-2-フェニルプロピオン酸のエステルとし,再結晶とカラムクロマトグラフィーを組み合わせることによって,両エナンチオマーがそれぞれ99%e.e.以上の純度で得られることを見いだした。絶対立体配置は,中間に得られる2-フェニルプロピオン酸エステルの一方のジアステレオマ-のX線結晶構造解析により決定した。このようにして調製して人工不斉助剤の不斉合成への応用として,キラルオキサゾリンを用いる不斉[2,3]-Wittig反応を検討した。このアミノアルコールから容易に得られる2-アリルオキシシメチルオキサゾリン誘導体は,塩基の作用により容易に転位し,対応するアルコールを与えた。反応条件を検討した結果,THF中,テトラメチルエチレンジアミンの存在下,リチウムヘキサメチルジシラジドを作用させると最も良好な選択性で目的とするアルコールを与えることを見いだした。
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[Publications] Atsushi Sudo: "The Chiral Amino Alcohol,cis-2-Amino-1-acenaphthenol:Synthesis,Resolution,and Application to the Diastereoselective [2,3]-Wittig Rearrangement" Tetrahedron:Asymmetry. 5. 1333-1346 (1994)
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[Publications] Yukihiko Hashimoto: "Stereoselective Addition Reaction of Orgenolithian Reagonts to Chiral Imines Derived from erythro-2-Amino-1,2-dipheny cethanol" Chemistry Letters. 235-236 (1994)