1994 Fiscal Year Annual Research Report
ジアステレオ選択的分子間ラジカル反応によるキラル分子の不斉合成
Project/Area Number |
06225213
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 史衞 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (50016606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
占部 弘和 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (10176745)
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Keywords | ラジカル反応 / ジアステレオ選択性 / プロスタグランジン / 付加反応 / アリルスズ化合物 / 不斉合成 / 分子間反応 / シクロペンタノン |
Research Abstract |
ラジカル反応はイオン反応に比較し有機合成の手法としてあまり利用されていない。特に分子内ラジカル反応に比較し分子間ラジカル反応の有機合成の利用は非常に限られている。これは現代の有機合成に求められている高い立体選択性の実現がラジカル反応では難しいと考えられている点にひとつの理由があると考えられる。そこで分子間ラジカル反応のジアステレオ選択性を支配する因子を明らかにし、高い選択性を与える条件を見出し、この知見を利用しプロスタグランジンの選択的合成を行うことを研究目的とした。置換基を有するα-メチレン-シクロペンタノンおよびシクロヘキサノンとのラジカル付加反応の立体選択性を種々の条件下で行い、ジアステレオ選択性を調べた。その結果適当なルイス酸を用いると高い選択性が得られること、またラジカル発生を低温で行うと選択性が向上する知見を得ることができた。なかでもβ-位に置換基を有するα-メチレン-シクロペンタノンでは90%以上のジアステレオ選択性が得られることを見出した。以上の知見をもとにω-側鎖を有するα-メチレン-シクロペンタノンにα-側鎖をラジカル反応で高選択的に導入することに成功し、従来のイオン反応では合成が困難であったプロスタグランジン誘導体の合成への道を拓いた。また1位に置換基を有するアリルスズ化合物へのラジカル反応についての検討を行い、従来合成的に有用な収率が得られないと考えられてきた1-位に置換基を有するアリルスズも条件を選ぶことにより収率よくラジカル付加物が得られることを見出した。
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[Publications] Hirokazu Urabe: "Regio-and Stereo-controlled Methylation of γ-Silylally Phosphates by π-Allylpalladium Methodolgy" J. Chem. Soc., Chem. Commun.1595-1597 (1993)
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[Publications] Naoya Ono: "Synthesis of a Key Intermediate for Preparation of 4,5- Didehy dro Prostaglandins containing an Allenyl Side-chain Group via Two-component Couping Process. Synthesis of Enprostil" J. Chem. Soc., Chem. Commun.1251-1252 (1994)