1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06225235
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
そ合 憲三 東京理科大学, 理学部, 教授 (90147504)
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Keywords | 不斉触媒 / 共役付加反応 / ジアルキル亜鉛 / 不斉合成 / ニッケル錯体 / キラル化合物 / β-置換ケトン / アミノアルコール |
Research Abstract |
本研究では、キラルなニッケル錯体を不斉触媒に用いるジアルキル亜鉛のα,β-不飽和ケトンへの不斉共役付加反応の一般性を検証することを目的に、不斉触媒の構造、基質および反応条件等について検討を行い、β-置換ケトンの不斉合成を行った。 ニッケルアセチルアセトナート(7モル%)と、キラルな配位子であるN,N-ジブチルノルエフェドリンおよびアキラルな配位子である2,2'-ビピリジンなどから調製したキラルなニッケル錯体を不斉触媒に用いて、ジアルキル亜鉛をα,β-不飽和ケトンに作用させたところ、光学活性なβ-置換ケトンが最高91%eeで得られた。反応溶媒としてアセトニトリル等のニトリル系溶媒がきわめて有効である。 さらに、用いるN,N-ジアルキルノルエフェドリンの窒素原子上のアルキル基が不斉収率に及ぼす影響について詳細に検討した。第1級アミノ基をもつノルエフェドリン自体を不斉配位子とした場合は、エナンチオ選択性は検出限界以下であった。しかし、窒素原子上のアルキル基の炭素数がメチル基、エチル基と多くなるにつれエナンチオ選択性は向上し、ブチル基(N,N-ジブチルノルエフェドリン、DBNE)を用いた場合に最も高く、さらに、アルキル基が長くなるにつれ、エナンチオ選択性は低下した。したがって、ジブチルアミノ基が、N,N-ジアルキルノルエフェドリンのうちで、本不斉共役付加反応の立体を制御する能力が最も高いことになる。また、良好なエナンチオ選択性を示すアミノアルコールのアルコール部分の構造は、第2級アルコールであることが必須であることを見出した。
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