1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06226282
|
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
野上 潤造 岡山理科大学, 工学部, 教授 (70109742)
|
Keywords | 電解酸化 / α-アセトキシスルフィド / 4-チオリボース / 4'-チオリボヌクレオシド / 抗ウイルス剤 / ビニルスルフィド / α-アセトキシケトン / α-フェニルチオアルカンニトリル |
Research Abstract |
本報告者は、スルフィドの電解によるα-アセトキシスルフィドへの変換は極めて容易に進行することを見出している。 この電解反応を鍵反応として用いる新しい4-チオリボースの合成と、それらチオリボースを糖部とする種々の4'チオリボヌクレオシド類の合成を行なった。 天然ヌクレオシドの疑似化合物(非天然ヌクレオシド)がヌクレオシド系の抗ウイルス剤として開発されていることは良く知られている。 その最も有効な手段として糖部の変換(非天然型の糖を用いる方法)が考えられる。 今回、硫黄原子を有するチオリボース誘導体を糖部とする一連の4'-チオリボヌクレオシドの合成を試みた。 4-チオリボースとして、テトラハイドロチオフェン誘導体と1,3-オキサチオラン誘導体の2種を電解反応を駆使して合成した。 それぞれ、スルフィドの電解アセトキシ化を鍵反応として用いることによって初めて合成可能となった。 このようにして得たチオリボース誘導体を用いて、いくつかの新しい4'-チオリボヌクレオシドを合成した。合成した新規化合物の抗ウイルス活性を現在テスト中である。 また、上記合成過程でα-アセトキシスルフィドにBF_3存在下でトリメチルシリルシアニド作用させると、αフェニルチオアルカンニトリルが収率良く得られることも明らかにできた。 これとは別に、ビニルスルフィドの電解酸化によってα-アセトキシケトンあるいはその等価体が得られることを見出した。 スルフィドが極めて容易に得られる硫黄化合物であるから、このように電解反応を用いて、スルフィドを合成に有用な種々の官能基に容易に変換できることは、電解反応の特異な反応性とその合成反応としての有用性を示すものと思われる。 これらの成果を基に、未開発の有機合成反応への電解反応によるアプローチを積極的に試みたい。
|