コバルト錯体の絶対不斉反応の機構

1994 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 06227225
• Research Institution: Tokyo Institute of Technology
• Principal Investigator: 大橋 裕二 東京工業大学, 理学部, 教授 (40016118)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 植草 秀裕 東京工業大学, 理学部, 助手 (60242260) ; 関根 あき子 東京工業大学, 理学部, 助手 (40226650)
• Keywords: コバルト錯体 / 不斉反応 / 光異性化反応 / X線結晶解析 / 固体反応 / 結晶相反応

Research Abstract

これまでコバロキシム錯体結晶に可視光を照射すると、結晶格子を保ったまま反応が進行する結晶相光異性化反応を研究してきた。今回、この結晶相異性化反応をさらに進める目的で、トランス-2-ブテニル基をもつコバロキシム錯体結晶の結晶相トランス-シス異性化反応を取り上げた。軸配位子の塩基としては、ピリジン、4-ブロモピリジン、3-クロロピリジン、ジメチルスルフィドの4種に結晶について光照射前と照射後の結晶を解析した。また変化の速度も調べた。その結果、ピリジン錯体では約2時間の照射でも約66%がシス体に変化した。この錯体ではトランスのメチル基は外側に突き出しているが、シスのメチル基は空間をうまく埋めている。このためコバルト-炭素結合が開裂してラジカルが生じたとき、立体反発の少ないシス体に変化し、しかもそれほど大きな体積の変化がないため結晶格子が保たれていると推論できる。さらに塩基を4-ブロモピリジン、3-クロロピリジン、ジメチルスルフィドに変えた錯体を検討した。4-ブロモピリジンはピリジンと同様に光照射によって変化する。しかし反応速度は1桁以上遅い。一方、3-クロロピリジン、ジメチルスルフィドは光を照射しても変化しない。このような反応性の違いを明らかにするため、これまでと同様に反応空間を調べてみた。反応空間の体積を見ると、ジメチルスルフィド錯体は小さすぎるので反応出来ないと推論できる。しかし反応する4-ブロモピリジン錯体と反応しない3-クロロピリジン錯体はほぼ同じ体積である。反応空間の形を比較すると、反応しない3-クロロピリジン錯体ではシス型を収容するスペースが小さく、反応に寄与しない部分の体積が大きい。このために反応が起こらないと推論できた。

Research Products

• [Publications] 竹中康之: "Crystalline-State Reaction of Cobaloxime Complease 16 Two Polymnphs of (CS)-1-Cyanoethly J(CS)-bleyl ctlylanie J cobzlrans" Acta Crystalbgraphica. B49. 852-859 (1993)
• [Publications] 橋爪大輔: "Structures and Photoactivifive of N-Isopropyl-N-weithl-phcnylglyoxhauide" Bull. Chem. Soc. Jpn.67. 985-993 (1994)
• [Publications] 大胡恵明: "Chiral Lattice-Sentrolled Asymmetric Phitoisomerization of C_2-Cyariethlyl,Jeobxlivimee in the Solid State" Chem. Lett.715-718 (1994)
• [Publications] 関根あき子: "Crystalline-State Phatoisomerizations and Photoiuduce of bhase frausi 'tor of "Coborloxise Complex" Mol. Cryst. Liq. Cryst.242. 109-117 (1994)
• [Publications] 大橋裕二: "Optical Enricliment of Clriral Recemic Crystals on Exposure Ti visible light" Mol. Cryst. Liq. Cryst.242. 103-108 (1994)
• [Publications] 関根あき子: "2-Nilrobiphecyl and 2,2′-Dirditro lipheyl" Acta, Cryst.C50. 1101-1104 (1994)