1994 Fiscal Year Annual Research Report
シラシクロブタンのルイス酸性を利用した新しい有機合成反応の開拓
Project/Area Number |
06227231
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大嶌 幸一郎 京都大学, 工学部, 教授 (00111922)
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Keywords | シラシクロブタン / 5配位シリケート / 環拡大反応 / アリルシラシクロブタン / メチレンシラシクロブタン |
Research Abstract |
交付申請書に記載の計画に従い研究を行い次の成果を得た。 1.ジメチルシラシクロブタンにジハロメタンとリチウムジイソプロピルアミドから得られるリチウムカルベノイドを作用させるとシラシクロペンタンへの環拡大反応が進行することを見いだした。この反応は5配位シリケート中間体を経由して進行すると考えられる。そこでこの環拡大反応を有機合成に利用するために1-(α-ヨードアルキル)シラシクロブタンを基質として取り上げ求核剤との反応について検討を行った。その結果求核剤としてカリウム-t-ブトキシドを用いたところ収率よくシラシクロペンタンへの環拡大反応が進行することが明らかとなった。 シラシクロブタンのケイ素原子は他の一般のテトラアルキルシランのケイ素に比べより高いルイス酸性を持つことが予想される。そこでアリルシラシクロブタンを合成し種々のカルボニル化合物との反応を検討した。その結果ルイス酸の添加なしに加熱するだけでアルデヒドのアリル化が進行することを見いだした。例えば1-アリル-1-フェニルシラシクロブタンとベンズアルデヒドの混合物を130℃に加熱し1MのHClで処理すると1-フェニル-3-ブテン-1-オールが収率85%で得られた。E体の1-(2-ヘキセニル)シラシクロブタンとアルデヒドの反応ではトレオ体のホモアリルアルコールが得られる。一方Z体のシラシクロブタンからはエリトロ体の付加体が選択的に生成した。 3-メチレンシラシクロブタンは4員環の歪みを持つアリルシラン化合物で特異な反応性をもつことが期待できる。実際3-メチレン-1,1-ジフェニルシラシクロブタンとベンズアルデヒドの混合物を80℃に加熱すると,5-メチレン-1,1,3-トリフェニル-2-オキサートシラシクロヘキサンが収率68%で得られることを見いだした。
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[Publications] Koichiro Oshima: "Noncatalyzed Stereoselective Allylation of Carbonyl Compounds with Allylsilacyclobutanes" Journal of Organic Chemistry. 59. 7152-7155 (1994)
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[Publications] Koichiro Oshima: "Nucleophile-Induced Ring Enlargement of 1-(1-Iodoalkyl)silacydobutane and 1-(1,2-Epoxgalkyl)silacydobutane into silacyclopentane." Bull.Chem.Soc.Jpn.,. 68. 250-261 (1995)