1994 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素の転位を活用する双極子性活性化学種の創製とヘテロ環合成への応用
Project/Area Number |
06227242
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小松 満男 大阪大学, 工学部, 教授 (60029197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 忍 大阪大学, 工学部, 助教授 (30184659)
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Keywords | ケイ素 / 1,3-双極子 / アゾメチンイリド / 転位 / シクロ付加 / ヘテロ環化合物 |
Research Abstract |
本研究は、ケイ素の分子内転位による1,3-双極子性活性化学種の発生法を新規な方法論として確立するとともに、それらのヘテロ環分子設計への応用を展開することを目的としたものである。 1)ケイ素の1,2-転位によるN-(シリルメチル)イミンからのアゾメチンイリド発生の効率化を検討した。例えば、ケイ素上の置換基をフェニル基に代えたり、シリルハライドなどの添加効果により、反応が加速されることを見い出した。 2)上記の転位反応の中間体であるアゾメチンイリドと1,3-双極子と各種親双極子剤とのシクロ付加によるヘテロ環合成を展開した。とくに、その立体化学について詳細に検討し、アゾメチインイリドの両端の置換基がtransになる付加体が選択的に生成することを解明した。 3)N-(シリルメチル)アミド類のシリル基の酸素上への1,4-転位に基づくアゾメチンイリドへの熱変換反応についても詳細に検討し、80℃という温和な条件下でも1,3-双極子中間体が発生することを明らかにするとともに、親双極子剤とのシクロ付加によるヘテロ環合成を展開した。 4)N-(シリルメチル)アミドが三級アミドの場合、マレイミドとのシクロ付加が1:1でとどまらず、1:2付加体が生成した。これは、1:1付加体からシラノールが脱離し新たな1,3-双極子が発生したためで、双極子の連続発生という非常に興味深い反応であるとともに、新規なアゾメチンイリド発生法となる可能性を見い出した。 5)反応機構について半経験的分子軌道計算に基づいて考察し、立体化学や反応性に及ぼす置換基の影響を明らかにした。
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