1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06227249
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 秀雄 岡山大学, 工学部, 助教授 (60032950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥本 寛 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (90183251)
鳥居 滋 岡山大学, 工学部, 教授 (70032927)
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Keywords | パラジウム錯体 / 極性反転 / 電解還元 / アレニルパラジウム / アレン / プロパギルアセタート / アシルパラジウム / 異種金属複合レドックス |
Research Abstract |
パラジウム錯体の極性反転を組み込んだ新しいパラジウム触媒反応を開発することを目指して、プロパルギルアセタート誘導体のパラジウム触媒存在下での電解還元を中心に研究を行った。本電解還元系では、アレニルパラジュウム錯体の二電子還元(+2e)によるアニオン活性種の発生が期待され、このアニオン活性種を求電子剤で捕捉する新規パラジウム触媒系の開発を行なった。これまでに以下の点が明らかとなった。 (1)プロパルギルアセテート誘導体1と触媒量のPdCl_2(Ph_3P)_2とをDMF中、定電流条件下(2.5mA/cm^2)、電解還元を行なうと相当するアレン体2が生成する。 (2)本反応は、通電と同時に開始し1の減少に伴って2が生成し、約1.2F/mol通電すると1は、ほぼ完全に消失し2に変わる。 これらの結果は、本電解還元系では陰極上での電子授受(+1.2e)以外に化学的な還元が一部進行していることを示している。還元剤としてPh_3P或は電極に用いた金属鉛等を考え、その可能性について検討を続けている。 一方、電解還元系におけるアシルパラジウム錯体の挙動についても検討した。これまでに、アシルパラジウム錯体の極性反転を示唆する二三の実験結果を得ている。また、異種金属レドックス間で惹起する電子移動系で生じる電子過剰型反応種の挙動についても併せて研究を行ない、Pd(II)/Zn(0)あるいはNi(II)/Pb(II)/Al(0)異種金属レドックス系で生じる新規電子過剰型反応種を活用する二三の炭素-炭素結合形成反応の開発にも成功している。今後、電解還元系で生じる電子過剰型反応種と異種金属レドックス系で生じるそれとを比較しながら、新しい触媒機能の開発に向けて研究を展開したい。
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[Publications] H.Tanaka: "Use of Aluminium as an Electron Pool. Reductive Coupling of Iodobenzenes Promoted by Electron Transfer in an Ni/Pb/Al Multi Redox System" Inoraganica Chimica Acta. 222. 323-325 (1994)
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[Publications] H.Tanaka: "A Facile Access to 3-Allyl-and 3-Benzyl-3-cephems via Reductive Addition/Cyclization of Allenecarboxylate with Allyl and Benzyl Halides in an Al/Pb/Ni Redox System" J.Chem.Soc.Chemical Communications. 1461-1462 (1994)
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[Publications] H.Tanaka: "Palladium-Catalyzed Carbonylative [2+2] Cycloaddition for the Stereoselective Sysnthesis of Either cis- or trans-3-Alkenyl-β-Lactams" J.Org.Chem. 59. 3040-3046 (1994)